北朝鮮の核問題で米は「中国と連携」=米大統領補佐官
2017年4月17日12:15 BBC
北朝鮮の核・ミサイル開発をめぐる緊張が高まるなか、H・R・マクマスター米大統領補佐官(国家安全保障担当)は16日、米中両国が対応策について「さまざまな選択肢」を検討していると述べた。
マクマスター補佐官は米ABCニュースとのインタビューで、現在の状況が「続くわけにはいかない」との認識で中国と一致していると述べた。ドナルド・トランプ大統領もこれに先立ち、中国が「協力してくれている」と述べていた。
北朝鮮は15日に故金日成主席の生誕105周年を祝賀する大規模な軍事パレードを行ったほか、16日には弾道ミサイル1発の発射を試みたものの失敗した。
米国は、北朝鮮にとって最大の同盟国の中国に対し、北朝鮮への圧力を高めるよう求めている。
マクマスター補佐官の発言は、北朝鮮問題をめぐる米中の連携を当局者が初めて確認したものとみられる。
アフガニスタンの首都カブールを訪問中のマクマスター補佐官は、北朝鮮の16日のミサイル発射は、「挑発的で、安定を脅かし、脅迫するといういつもの行動だ」と批判し、「(トランプ)大統領は、米国や、地域の同盟国や提携国が、敵対的な核保有国に脅かされることを許さないと明示してきた」と述べた。
マクマスター補佐官はさらに、「このような状況が続くわけにはいかないと、中国の人々や指導部を含む国際的な合意が今ではできていると思う」と語った。
トランプ大統領と中国の習近平国家主席が今月初めに米南部フロリダ州で会談した際には、北朝鮮についての協議も行われた。上海で取材するBBCのロビン・ブラント記者によると、習氏は米側に対し「意思疎通と連携」で協力する考えを示したという。
韓国と米国の軍関係者は16日、北朝鮮のミサイルが発射直後に爆発したと述べた。米太平洋司令本部は弾道ミサイルだという見方を示した。
情報収集は続いているが、ある米関係筋は発射に失敗したミサイルが大陸間弾道ミサイル(ICBM)だった可能性は低いと述べた。
弾道ミサイルは、発射当初は加速装置と誘導装置が使われ、高い軌道を飛ぶが、重力落下で標的に達する。ICBMは大気圏外にいったん出るが、ほかの弾道ミサイルは大気圏内を飛行する。
北朝鮮はICBMに搭載可能な核弾頭の開発によって、世界各地を攻撃できる能力を得ようとしている。
北朝鮮は、ミサイルに搭載可能な段階まで弾頭の小型化に成功に達したと主張するが、証拠が少ないため専門家たちはこれを疑問視している。
北朝鮮は国連安保理決議に違反する形で、これまでに5回の核実験と多数のミサイル発射試験を行っている。失敗した事例もあるものの、北朝鮮は開発計画を進めてきた。
一方、米国のマイク・ペンス副大統領は10日間の予定でアジアを歴訪中。同地域の同盟各国に対して、安全保障に対する米国の積極姿勢をあらためて伝えるのが目的だ。
16日に韓国ソウルに到着したペンス副大統領は、北朝鮮がミサイル発射を試みたことについて「挑発」だと述べた。ペンス氏は黄教安(ファン・ギョアン)大統領代行兼首相と北朝鮮問題について協議する予定。
英国のボリス・ジョンソン外相は、北朝鮮が「好戦的な行動をやめ、国連安保理の決議に従うべきだと」述べた。
中国の王毅外相は14日、地域情勢は緊張が高まっており、「衝突がいつ始まってもおかしくない」と警告した。
米海軍の原子力空母カール・ビンソンを中心とする打撃群の朝鮮半島接近によって、北朝鮮情勢はさらに緊迫の度を強めている。
(英語記事 North Korea nuclear: US 'working with China' on response)