【風を読む】「慰安婦像」を展示したいなら 論説委員長・乾正人
日曜日の名古屋・愛知芸術文化センターは、熱気にあふれていた。
同センターの8階で、国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の一企画として慰安婦を
象徴した「平和の少女像」が展示されていたのは土曜日までだったはずなのに、と首をかしげた人は
相当、意識が高い。
大ホールでは、「世界コスプレサミット2019」が開かれており、世界40カ国からマンガや
アニメの登場人物に扮(ふん)したコスプレイヤーが集結していたのだ。ホールだけでなく、名古屋の
街中を仮装した若者たち(中年もいたが)が楽しげに闊歩(かっぽ)していた。
さすがトリエンナーレ、成功しているなぁ、と感心していたら、さにあらず。コスプレサミットは、
トリエンナーレとは関係なく、16年前に愛知の民放テレビ局が立ち上げたモノで、今ではすっかり
市民に定着し、世界的なイベントに成長していたのだ。
それにしても「慰安婦像」などの展示中止を発表した実行委員会会長の大村秀章・愛知県知事から、
明確な謝罪の言葉がないのはいかがなものか。
毎日新聞によると、知事は芸術監督に津田大介氏を起用する際、「とんがった芸術祭にしてくれ」と
要請し、彼は「慰安婦像」などの展示を目玉企画にしたという。
事実なら知事の責任は重い。
「放火する」といった脅迫は論外だが、「慰安婦像」や昭和天皇の肖像画を焼くような作品を
展示すれば、抗議が殺到する事態をどうして想定できなかったのか。そもそもこれらの作品は、
反天皇制や反日米安保など特定のイデオロギーに偏ったものばかり。税金で成り立つ公的施設や芸術祭で
展示するのがふさわしくないのは、「表現の自由」以前の「常識の問題」だ。
それでも展示したい、のならば、トリエンナーレには朝日新聞文化財団が助成している。朝日新聞の
施設を貸してもらえばよかったのに。
もうひとつ、いい機会なので書かせてもらうが、津田氏は「ジャーナリスト」という肩書を
使っているが、やめていただきたい。ジャーナリストは、世の中の出来事や問題点を報道・論評する
職業で、自ら騒ぎを起こす商売ではない。これからは「左系運動家」と名乗られるのが、よろしかろう。
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昭和天皇の展示物について面白がっていた津田氏と東氏
4月に行われたニコ生対談「津田大介と東浩紀による『あいちトリエンナーレ2019が始まってもないのに話題沸騰してるけどその裏側を語る...』」の動画の一部が拡散中。
津田大介と東浩紀による「あいちトリエンナーレ2019が始まってもないのに話題沸騰してるけどその裏側を語る...