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【朝鮮日報社説】北の核廃棄を「南北VS米国」に変質させた文大統領の言動

2018-05-29 14:18:22 | 朝鮮半島有事・非核・南北朝鮮

【社説】北の核廃棄を「南北VS米国」に変質させた文大統領の言動

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領が北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の提案を受け、26日に現政権発足後

2回目の南北首脳会談を行った。歴代の大統領は任期中に1回でも南北首脳会談を行うことさえ非常に難しかったが、

今回は最初の首脳会談から1カ月も過ぎないうちに再び北朝鮮が首脳会談を持ち掛けてきたというのだから、

どう考えても尋常ではない。

米国のトランプ大統領は韓国時間24日深夜に米朝首脳会談の取りやめを発表したが、北朝鮮から連絡があったという

25日はその翌日だ。当時北朝鮮東部元山にいたという金正恩氏は慌てて文大統領に会談を要請すると同時に平壌に戻ったのだろう。

文大統領は「友人同士のごく平凡な日常の出会いだ」と表現したが、実際はトランプ大統領の強気な出方に驚いた金正恩氏が

どこか頼れる先を探したのだ。


 会談後、文大統領は「金委員長は韓半島(朝鮮半島)完全非核化の意志を明確にした」と説明した。

しかし「米国が求める完全・検証可能・不可逆(CVID)という核廃棄の方式に同意したのか」との質問に文大統領は

「米朝間で確認すべき問題だ」として明言を避けた。最も基本的かつ重要な問題に言及せず、

ただ単に「非核化の意志を確認した」では誰がその言葉を信じるだろうか。あるいは文大統領は国民の生命と財産を

ただ金正恩氏の善意だけに委ねるというのか。また何を根拠に北朝鮮の善意をそこまで信頼できるのか。

これでは安全保障の責任を持つ大統領としてあまりにも無責任と言わざるを得ないだろう。


 北朝鮮の核問題において韓国は第三者として傍観するような立場ではない。「金正恩氏は非核化の意志を持っている」という

言葉は金正恩氏自ら韓国特使団と面会した際にも、そして文大統領と最初の首脳会談を行った時にも出ている。

もっと言えば北朝鮮は25年前にも同じ言葉に何度も言及していた。ところが北朝鮮はすでに核兵器を持ち、さらに米朝首脳会談を

目前に控えた今になっても「核廃棄」ではなく「核軍縮」という違う言葉を使っているだけでなく、豊渓里核実験場を閉鎖する際には

専門家の立ち会いを認めなかった。これでは本当に核廃棄に応じたとは考えられないだろう。

 

 北朝鮮に本当に核廃棄の意志があるのであれば、自らが保有する核兵器、核物質、核施設など実際に廃棄するものと

その時期を明確にすべきだ。それができないのなら、北朝鮮の本音は別のところにあると考えざるを得ない。

「米国が体制を保証すれば核を持つ理由はない」などの古くさい言葉を壊れたレコードのように繰り返すだけでは、

これは「核を放棄しない」と言っているのに等しい。

 

 文大統領は「北朝鮮が非核化に応じた場合、体制を保証するという米国の言葉を本当に信頼できるか(金正恩氏は)懸念している」

とも伝えた。

北核廃棄が確認されれば、米国との経済交流、制裁解除、平和協定などは一種の保証手形のようになっている。

国際社会でこれに反対する人間はいないだろうし、米国としても反対する理由はない。

ところが韓国の大統領が北朝鮮の側に立ち、交渉に臨む米国の態度に問題があるとでも言いたいような言動を示している。

見方によっては段階的核廃棄を主張する北朝鮮の肩を持っているとみられる恐れさえある。

今北朝鮮が主張する内容は過去の核詐欺の時と全く同じ手口だからだ。


 南北の首脳は南北高官級協議を6月1日に開催することで合意した。これも北朝鮮にとっては米国に圧力を加えるもう一つの

手段だろう。この高官級協議は当初今月16日に開催予定だったが、北朝鮮は韓米空軍による合同戦闘訓練を口実に、

当日の未明になってキャンセルを通告した。金正恩氏は韓米による定例の軍事演習について「理解する」と語ったが、

先日の高官級協議キャンセルの理由に軍事演習を持ち出した理由について文大統領にどう説明したのか、あるいは何の説明も

なかったのか、説明がなかったにもかかわらず、文大統領がこの問題に言及しなかったのか、国民は強い関心を持っている。

しかし文大統領はこれについて何の説明もしなかった。高官級協議のように当日になってキャンセルすることも、あるいは

今回の首脳会談のように何の予告もなく明日会おうと言うのもどちらも相手の立場を無視する態度だ。

今は韓米両国が一体となって北朝鮮を説得し、必要であれば圧力を加えながら早期に核廃棄を決断させるべき時だ。

米朝の間に立ち、怪しげな橋渡し役をしているようでは逆に問題を複雑にする恐れもあるのではないか。