月探査機「嫦娥4号」打ち上げ、月の裏側にある魅力とは?
今月8日午前2時23分、月探査機「嫦娥4号」の打ち上げが成功し、中国の月探査プロジェクトが
再出発を果たした。これまでと異なり、嫦娥4号は最終的に月の裏側に着陸し、人類初の月の裏側への
軟着陸、巡視・探査を実現することになる。光明日報が伝えた。
嫦娥4号が当初、嫦娥3号の予備用であったことはあまり知られていないだろう。
嫦娥4号探査機飛行制御・試験チーム副チーム長、プロジェクト顧問の譚梅氏は「嫦娥3号にトラブルが
あれば、嫦娥4号が代わりの役割を果たす」と振り返った。その結果、嫦娥3号の任務が成功し、
次の打ち上げ任務(嫦娥4号)はどうすべきかという問題が生じた。科学者は探査機を月の裏側に
着陸させるよう提案し、月の南極に着陸させるべきという提案もあった。論証を経て、月の裏側が選ばれた。
月の自転周期と公転周期が一致しているため、その一面は常に地球を向き、別の一面は地球に背を
向けている。人類が地球上で目にするのは月の正面で、裏側は見えない。この見えない一面は、
我々が月、さらには宇宙を認識するため重要だ。物質の成分、地理的構造、岩石の年齢のいずれも、
裏側と表側では大きく異なるからだ。中国科学院月・深宇宙探査総体部主任の鄒永廖氏は
「全体的に見ると、月の裏側の岩石はより古い。より古い岩石などの物質の成分情報を得れば、
我々が月の進化を理解する上で役に立つ」と述べた。
計画によると、嫦娥4号は面積の9割が月の裏側にあるエイトケン盆地に着陸する。
鄒氏は、「エイトケン盆地は太陽系の固形の天体のうち最大かつ最も深い盆地で、直径はおよそ2500キロ、
深さは約12キロある。その探査により、月深部物質の情報を得ることができる」と説明した。
月の裏側に行くことには、低周波電波天体観測というもう一つの重要な理由がある。
「この目標は天文学者が夢にまで見たものであり、電波天文分野における最初の低周波観測となる」。
鄒氏によると、地球の電磁環境の原因により、月の表側における低周波電波観測はあまり効果的でない。
裏側は電磁環境が非常に優れており、宇宙科学分野の最先端である低周波電波天体観測及び研究に
理想的な場を提供する。
中国が2020年に、月面科学観測基地を建設へ
中国航天科技集団第五研究院深宇宙探査・宇宙科学首席専門家の葉培健氏によると、中国の月探査
プロジェクトの今後の任務は、月面科学観測基地の初期段階のモデルの構築となる。
嫦娥5号の任務が無事成功すれば、その予備用である嫦娥6号は次の段階の任務に進むことになる。
月の両極に向かいサンプルを回収し、2020年の月面基地建設の道を探る可能性があるという。
環球網が伝えた。
1960、70年代、米国は月から370.3キロの土壌を持ち帰った。無人サンプル採取任務が数回行われたの
を除けば、圧倒的多数はアポロ任務の宇宙飛行士によって持ち帰られたものだ。米国は1978年、
中国に月の土壌を1グラム提供した。うち0.5グラムは展示用、0.5グラムは研究用となり、多くの成果が
得られた。葉氏は、嫦娥5号は月の土壌を2キロ持ち帰る予定であり、中国人科学者が研究するため十分な
量のサンプルを提供すると述べた。