G7サミットは「アメリカ抜き」で?'
We Don’t Mind Being 6,’ Macron Says
マクロンとトルドーには「アメリカ抜き」の世界のビジョンが見えている?
<サミット直前に鉄鋼・アルミの追加関税を打ち出したアメリカに、フランス、カナダなどの同盟国は怒り心頭。
マクロンからは「アメリカ要らない」発言も飛び出した>
フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、カナダ・ケベック州シャルルボワで8日から開催される先進7カ国
(G7)首脳会議(サミット)を前に、「(G7が)6カ国になっても構わない」と発言し、必ずしもアメリカは
必要ではないという考え方を示した。
カナダのジャスティン・トルドー首相と共にカナダで会見したマクロンは、ドナルド・トランプ米大統領の
孤立主義的政策に断固として反対する姿勢を見せた。
「G7のうちアメリカを抜いた6カ国の市場を合わせれば、アメリカの市場より大きい」とマクロンは述べ、
「我々が考えのまとめ方を知れば、世界覇権は生まれない。そして、我々は世界覇権を望んでいない」と発言した。
またマクロンは、トランプの孤立主義について「現在の米大統領は、孤立することも気にしないようだが、
我々も必要であれば6カ国になることを厭わない」
サミットは現地時間の8日からカナダ・シャルルボワで、アメリカ、フランス、カナダ、イギリス、ドイツ、イタリア、
日本が参加して開催されるが、ほとんどの国がアメリカの追加関税をめぐってトランプ政権と対立関係にある。
トランプ政権は5月31日、鉄鋼に25%、アルミニウムに10%の追加関税をかけると発表。ヨーロッパ各国など
アメリカと貿易関係がある諸外国は、これに対して即座にアメリカ製品への報復関税を課すと発表した。
トルドーもアメリカの追加措置を、「まったく受け入れ難い」と非難。「カナダとアメリカの長らく続く
安保協力関係への侮辱、特にアメリカと共に戦って死んだ数万のカナダの戦友たちへの侮辱だ」と手厳しく批判した。
Welcome to Canada, my friend! 🇨🇦🇫🇷 pic.twitter.com/TwPmHrWYQH
— Justin Trudeau (@JustinTrudeau) 2018年6月6日
(オタワでマクロン仏大統領と会談。サミットでは、大西洋を挟んでカナダとフランスが貿易を拡大させて仕事や
就労機会を生みだすためにどうやってもっと緊密に協力できるか話し合う)
日本には、これまでのところアメリカの追加関税は直接影響を及ぼしていないが、日本はアメリカと北朝鮮との
非核化協議に関してまた別の不安材料を抱えている。安倍晋三首相は、トランプが金正恩(キム・ジョンウン)
朝鮮労働党委員長との会談を進めるうえで、日本の安全保障上の懸念事項を協議の前面、中核に据えるように
要望している。
今回のアメリカの追加関税は、これまで伝統的に同盟関係にあった国々からの離反を示唆する行動だ。
昨年6月、トランプは地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」からの離脱を表明した。大統領選期間中に
有権者に誓った公約を実現したことになる。しかしこれに対して、ヨーロッパ各国やカナダの指導者からは
批判が出ている。昨年11月にシリアが「パリ協定」に加盟した現在、アメリカは世界で唯一この枠組みに合意して
いない国だ。
また、この5月にトランプは、2015年に締結した「イラン核合意」から離脱し、イランへの制裁を再開すると発表した。
ヨーロッパの指導者は、今後も核合意を継続する意思を示し、トランプの一方的な行動への失望感を表明している。
トランプとの緊張関係にあってもマクロンは強硬な構えを崩さない、フランスをはじめ他のG7参加国ともども、
同盟関係を軽視するアメリカをおそれない姿勢を見せている。
「これら6カ国は、(各国の)価値観を代表し、経済市場を代表し、そして何よりも国際社会における現実的な
影響力を代表している」とマクロンは述べている。