中国、南中国海メタンハイドレート試験採掘に成功
1000年の宝庫を開く
2017年5月19日 中国網
17日、海洋掘削プラットフォーム「藍鯨一号」によるメタンハイドレート試験採掘現場にて(新華社撮影)。
中国国土資源部地質調査局は、南中国海北部の神狐海域で可燃氷(メタンハイドレート)の試験採掘に成功したこと
を明らかにした。メタンハイドレートの埋蔵資源は水深1266メートルの海底の地下203-277メートルに存在し、5月
10日より天然ガスを取り出す作業を行っていた。5月17日15時の時点で、採掘量は合計12万立方メートル、生産量
は1日あたり最大3.5万立方メートル、平均1.6万立方メートル以上で、メタンの含有量は最高99.5%に達する。
中国が海域でメタンハイドレートの採掘に成功したのはこれが初めて。これにより中国のエネルギーは安定的に確保
され、エネルギー構造改善も促す。世界のエネルギー供給構造を変えるうえでも大きな節目となる。
試験採掘の現場で総指揮を採る葉建良氏は「海洋のメタンハイドレートの研究について、中国は1995年に開始し、
2007年5月に実物サンプルを採取した。そして世界で4番目に国家級開発プロジェクトを通じてメタンハイドレート発
見に成功した国となった」と説明する。
可燃氷(メタンハイドレート)は天然ガスハイドレートとも呼ばれ、メタン分子と水分子が低温かつ高圧の条件下で結
合してできた化合物だ。形は氷に似ているが火をつけると燃えるため、そう呼ばれる。発熱量が高い、クリーンな新型
エネルギーで、広範囲に分布し、埋蔵量も多い。1立方メートルのメタンハイドレートを分解すると、約0.8立方メートル
の水と164立方メートルの天然ガスが生成される。エネルギーの密度が高く、資源の潜在力は巨大。その資源量は、
世界で明らかになっている伝統的化石燃料の2倍に相当するとみられている。人類の1000年分の需要を満たせる新
エネルギーとの高い評価もあり、石油・石炭などの代替エネルギーとして期待されている。
海洋掘削プラットフォーム「藍鯨一号」(新華社撮影)
試験採掘現場指揮部地質グループの陸敬安リーダーによると、神狐海域には11の鉱床があり、面積は128平方メー
トルに及ぶ。資源埋蔵量は1500億立方メートルで、石油1.5億トンに相当する。試験採掘の成功は、これらの埋蔵量
が利用可能な貴重なエネルギーに転化できることを意味するという。
神狐海域のメタンハイドレートの埋蔵量は中国全体の埋蔵量の「氷山の一角」にすぎない。西沙トラフでの探査初期
段階の分布面積は5242平方キロに上る。また、南中国海の他の海域でも同様に、天然ガスハイドレートが存在する
のに必要な条件が揃っているようだ――。
「今回の試験採掘を通じて、中国はメタンハイドレート採掘の全過程における核心的技術で重大なブレークスルーを
実現し、世界をリードする新型採掘技術を考案した」と、試験採掘現場指揮部弁公室の謝文衛副主任は語る。
今回の試験採掘は、世界で初めてシルト質土水和物に対して開発試験を実施した。海洋地質学者達はこれについ
て、採掘方針、鉱床の選択、地質探査、中核技術と工程の確立、プラットフォームの選定など、多くの面で中国の特色
を備えているため、「中国の方案」だとしている。
海洋掘削プラットフォーム「藍鯨一号」によるメタンハイドレート試験採掘の様子(新華社撮影)
現場における試験採掘成功の発表式(新華社撮影)