前回の「教科書を読めない子供たち」の続編として、「AIに負けない子供を育てる」を読んでみた。
前作では、なんといっても「読解力」がないというのが今の子供たちの大問題であり、現代の日本の教育で最大の危機だと述べられていた。ただし、その「読解力」をつける方法はないというのが前作の結論であった。おそらく続編としての「AIに負けない子供を育てる」は、多くの読者から「読解力をつけるには」に対する解答を期待して読んでのではないだろうか。私もそうであった。
読解力チェック!!
「誰もが、誰かをねたんでいる。」
この文を意味を変えずに、自然な「受け身形」にしなさい。
私の答え 「誰もが、誰かからねたまれている。」
これをできない学生が、多いのか、と思って解説を読み始めると、問題と私の答えは同義ではないと解説があった。誰もが、誰かをねたんいても、誰からもねたまれていない人もいるのだから、問題と答えは同義ではないことになる。このことが理解できない人は、「まともに稼げるIT人材にはなれない」らしい。塾用プログラムを一式作成したわたしも稼げるIT人材ではなかったわけだ。
実際の答えは、「意味を変えない自然な『受け身形』は、ない」とのこと。ちょっとだまされた感はあるけれども。
ところで、この本の一番の面白さは、「リーディングスキルテスト(RST)」が体験できるところではないだろうか。28問で時間は問わないので、じっくり解ける。対象は、一般の大人というっことで、私も挑戦してみた。塾講師として教えていた身分なので、多少の自信があったが、見事に打ち砕かれた。解答をみて、よくよく読んでみると「なるほどね」、って言うところがいくつもある。これが、読解力の測定結果なのであろう。
日本人の読解力の低下には、いくつかの原因があるらしく、家庭や教育現場の問題点なども提起されている。赤ちゃんや幼児にyoutubeで子守りをさせている。それだけでなく、言葉のシャワーをかけてあげなければならない幼児期に、大人がみなスマホに夢中になって何時間も子供との対話時間を減らしていることに気が付かれればならない。小学生や中学生に板書をさせず、穴抜きプリントで要点を示すばかりの授業。穴抜きプリント、穴抜き問題のドリルの多用によって主語述語のしっかりとした1文としての日本語の書かない授業の多さ。さらに板書もスマホのカメラで記録させるようになれば、日本語を書くことがなくなり、日本語の読み書き能力の低下は、当然の帰結かもしれない。この状況で、2022年度から高校の国語に、「論理国語」が新設される。文科省も動き始めているらしい。
「『読解力』をつけるには、どうような方法があるのか」という問いには、この本は、残念ながら、直接回答しているわけではない。しかし、子育て中の親世代や小学校の先生たちには、参考になる部分が多いのではないだろうか。
読んで、テストしてみて、楽しい本である。
<主夫の作る夕食>
豚肉とかぼちゃのチーズ焼き、見た目がイマイチなんだよね。茶碗蒸しに冷凍具材を適当に入れてみた。適当な味になってしまった。
<想い出の一枚>
ギリシャの青い空