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黄金の茶室
黄金の茶室はすべての内装が黄金に仕立てられた組み立て式の茶室です。豊臣秀吉はこれを解体して九州の戦へ持って行き組み立てて茶会をしました。
茶器や台子(だいす)も金箔が張られて、その中に入るとすべてが黄金の世界です。
これに対して、京都妙喜庵の待庵(たいあん)は、わびさびた豪華なものは何もない風情で、広さ二畳という狭小な茶室です。
この対照的なふたつの茶室が同じ時代に、千利休がかかわってつくられたというのが興味深いと思います。
そして、豊臣秀吉もそのどちらの茶室も用いました。
秀吉は大坂城、聚楽第など豪壮な建築を建ていかにも華やかな世界がクローズアップされますが、そうした城の中にも山里丸(やまさとまる)というひなびた区画がありました。そこは天主閣の近くで、その区画にわびさびた茶室を設けたのです。
つまり、ただ華やかな世界に浸るのではなく、それらを排除した何もないような場所や茶をたしなんだと思われるのです。
こうした演出は千利休が考えたものと思われますが、豊臣秀吉はじめ戦国の武将がわきまえていたものでもありました。かれらはただ豪華な世界を志向したのではなく、その反対の無の世界も味わっていたのだと思います。
待庵(妙喜庵)
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