絵巻の話が出たので、何かお話ししようと思いました。
鳥獣戯画は一番有名な絵巻なのに、教科書に載っていません。
なぜか?
おそらく何を表しているか、よくわかっていない、というのが理由かもしれません。
ウサギやサルが遊んでいて、楽しそうだ~
と見ていることが多いですね。
でも、いまからおそらく800年ほど前に絵を描くというのは特別なことでした。
まず、絵のうまさ。
絵巻の最上の作品とされる信貴山縁起絵巻、伴大納言絵詞とくらべても、墨の線だけで表現する技量は鳥獣戯画は劣らない。つまり、当時の最高の絵師の手になる作品です。
では、動物たちは何をしているのか?
おそらく、何か下地になるお話があって、それをもとにしているために内容がわからないと考えます。
ウサギ、サル、キツネというと、ウサギが身を犠牲にして老人に化けた仏に尽くすジャータカ(インド伝来の説話)があります。
老いた旅人は3匹の動物の真心を試すために近づきます。サルとキツネはつごうよく食料を調達して彼にほどこします。ウサギはそれが出来ずに、自分を火の中に投じて、自分を食べるように言い残します。
仏はそれをあわれんで、中国の説話では月に置いていつもウサギが見られるようにしました。
月というと中国では嫦娥という弓の名人の奥さんが、不老不死の薬を盗んだために月にガマガエルの姿で閉じ込められます。
つまり、彼らがいるのは月の世界で説話の登場人物(動物?)ではないかと考えられます。近頃はこのあたりまで、理解されるようになりました。
でも、彼らはいったい何をやっているのか?ということはまだわかっていません。
この絵はじつはこの絵が伝わった高山寺(京都)の開山、明恵上人にまつわるものだという説が近年示されています。
どういうことでしょう? 続きは次回。
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