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【感想】台湾人は中国人に見えなかった

2003-08-25 08:06:00 | [MM] 台湾の声
台湾語は中国語に聞こえなかった
台湾人は中国人に見えなかった
 

一日本人として、世界台湾同郷会に飛び込み参加した
        フォックス淳子(香港在住)


去年8月東京で開かれた世界台湾同郷会の感想です。

あの時、初めて「台湾語は中国語(の一種)ではない」と強く感じました。そして、それまでの自分自身の考えが大きく方向転換するきっかけにもなりました。

私は、言語は全くの素人ですが、ずっと音楽を勉強していて、例の「絶対音感」という訓練も子供の頃に受けたので、音の高低や音域に対する聴覚では、普通の人より敏感だと言っていいと思います。

また、これは好みの問題なのですが、声楽家の声にしろ、楽器にしろ「高音域」は元々あまり好きではないんですね。声ならソプラノやテノール、楽器ならフルート、ピッコロ、ピアノの右端の方(笑)などの音は、どんなに優れた演奏家によるものであろうと、どうしても「キンキン」聞こえる部分があって、耳障りな部分があるのです。

なので、前から中国語(北京語)を聞くと、高音域の部分がやはり「キンキン聞こえる」し、また音がせわしなく上下するのが「耳障りに聞こえる」のです。これは、人それぞれの聴覚によって感じ方が異なると思いますし、だから中国語が悪いというわけではないのですが。言ってみれば「相性が悪い」のだと思います。

一方、私が住んでいる香港で使われている広東語というのは、中国語グループのなかでもかなり特殊ですね。よその地域の人が聞いても全然わからないみたいだし、また、中国語の中では上記のような高低の落差はあまり激しくなく、中間音域が多く比較的日本人にも聞き/話しやすい言葉なのではないかと思います。

また、言葉とは別ですが、広東人、香港人というのは、中国人グループの中で見れば殆どエイリアン(笑)と言っていいぐらい大胆に違うようです。

私は8月までてっきり「いくら台湾人が中国人じゃないと言っても“コイツら”に比べたらずっと似てるんじゃないの」とばかり思っていた。ところが...

そんな事は全く無かったんですね。最初の話に戻りますが、「圧倒的に中間トーンの多い、柔らかい音」、これが台湾語だったのです。

北京語と比べればずっと中間音域の多い広東語でも、とにかく「我が強い、主張が強い」んですね。これは常に他人に対して権利を主張する中国人の我の強さがそのまま言葉になったのだと思っていますし、私が感じる限りでは、それは北京語も広東語も同じなんです。

そして台湾語(ホーロー語)にはその「我の強さ」が全く感じられなかった。たとえば一般参加者でなく、講演者の場合は、話しているうちに口調が強くなる事もありましたが、それでも私が中国語に対して抱いているイメージ「他人を押しのけて自分を主張する」という「音の」特徴は全くなかったと思います。

そして、現場で見た人たちの印象、感じた「雰囲気」が、この台湾語のイメージにピタリと重なった。彼らが話す柔らかい中間音域とまさに同じように、包容力と許容力を感じさせるイメージです。これは、中国人なら、どんなに謙虚な人でも、まず見る事のない雰囲気だと思います。台湾人は中国人ではない、日本人に似ている部分もありますが、もちろん日本人でもない。「何人なのか?」と問われれば「台湾人だ」と答えるしかない。

これほど言葉と人格が直結している状態で、その上、元々の台湾人、台湾語とは似ても似つかぬ特質を持つ北京語を強要するというのは、何と残酷な事をしたのか。そんな事をしたら、彼らの人格、思考回路まで変えてしまう事になるのではないか、と。あの時受けたショックが今でも強く残っています。

もっとも、海外に長く住んでいた台湾人だけで判断する事は出来ませんね(海外が長かったからこそ、国民党の影響が薄く、純粋な台湾人に近いのではとも思いますが) 今度、選挙を見に台湾に行けるかも知れません。そうしたら、台湾に住む更に多くの人たちを見て、聞いて、どんな印象を受けるだろうか?私の印象が間違っていたのか、それとも事実の一つであったのか、確かめる事が出来ると思います。

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