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香港フィルハーモニック・オーケストラ 1998.12.31

1998-12-31 23:59:59 | のほほん
Hong Kong Philharmonic Orchestra
1999 New Year Extravaganza

at Hong Kong Cultural Centre
December 31, 1998

香港フィルハーモニックオーケストラ(香港管弦樂團)
ニューイヤー・エクストラヴァガンザ


香港文化中心
1998年12月31日 20:00開演

Programme 曲目

Ottorino RESPIGHI (1879-1936)/Gioacchino ROSSINI (1792-1868)
レスピーギ(原曲 ロッシーニ)
  "La boutique fantasque" suite
  「風変わりな店」組曲

Giacomo PUCCHINI (1858-1924)
プッチーニ
  Recondita armonia (from Tosca)
  『トスカ』より 「妙なる調べ」
  Intermezzo (from Manon Lescaut, act III)
  『マノン・レスコー』第3幕より 「間奏曲」
  Nessun dorma (from Turandot) *
  『トゥーランドット』より 「誰も寝てはならぬ」

Jacques OFFENBACH (1819-1880)
オッフェンバック
  "Orpheus in the underworld" overture
  『天国と地獄』序曲
  from "Tales of Hoffmann"
  『ホフマン物語』より
  ・Barcarolle
   舟歌
  ・Drig, drig, maitre Luther
   乾杯、ルター先生!(仮訳)
  ・Il etait une fois, a la cour d'Eisenach *
   かつてアイゼナハ宮殿で(仮訳)

Johann STRAUSS II (1825-1899)
ヨハン・シュトラウス2世
  Kaiser-Walzer, op.437
  皇帝円舞曲
  Tritsch-Tratsch Polka, op.214 *
  トリッチ・トラッチ・ポルカ

Franz LEHAR (1870-1948)
レハール
  Dein ist mein ganzes Herz (from "The land of smiles")
  『微笑みの国』より 「君は我が心のすべて」

Augustin LARA (1900-1970)
ララ
  Granada
  グラナダ

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演奏

Tenor......Warren Mok
テノール  ウォレン・モク(莫華倫)
Conductor......Yip Wing-sie
指揮    イップ・ウィンシー(葉詠詩)
Chorus......The Hong Kong Philharmonic Chorus*
合唱    香港フィルハーモニック合唱団

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98年もあと残すところ数時間。寒いような、寒くないような尖沙咀のプロムナードを、煙草吸いつつ、アベックかわしつつ、スバヤく横切り、香港文化中心は地階のカフェに到着したのが午後7時半。ここで何故か、お互い顔も知らん初対面の人と待ち合わせをしておりました。目印は「赤ワイン、飲んでます」

約束通りワイン飲みつつボーッとすること10分、現れたのは、なな何と予想だにしなかった美女。うぉおお、ラッキー! ...しかしその美女(以下「美女A」)、「ホントにワイン飲んでるとは思いませんでしたあアハハハ」って、ちょっとキミぃ。

気を取り直して、演奏会の後の打ち合わせなどしていると、あっという間に開演時間。美女Aと連れ立って階段を上り、会場へ。わっウソ今日プログラムないの!? こんなに曲散らばってんのにギャーどうすんだ、と騒いでいたら、ちゃあんとありました。しかも歌詞まで載ってるぞ、一緒に歌ってしまうぞ。

今日の目玉は噂のハンサム・テナー、ウォレン・モク。ううむ、なるほど甘いマスク、こりゃあさぞかしファンが多いであろう。しかしオバサン実は、バリトンかバスの方がエエのよ。何しろ、たとえどんなにデブのオッサンだろうと、声さえグッとくれば思わず恋に落ちてしまうのである。半日で目が覚めるが。

そんな事はエエから、ここでモク氏の紹介。87年にドイチェ・オーパー・ベルリンにて欧州デビュー。その後も世界の錚々たる名劇場、名音楽祭に出演、華人系テナーの第一人者うんぬん。あ、これはプログラム見てるだけだから。全部書くと長くなってかなわんので割愛しましたが、実力はあるようです。

無事美女Aと席に着くと、早速オケの構成チェック。わああ、ここ、バルコニーのとってもいい席なんだが、いかんせん私、目が悪い。ええと、おお、多分最初からフルメンバーだぞ、ありがとうプログラム、なんて丁寧なんだキミ。何を隠そう、私、香港フィル聴くの、これが2回目なんだもんね。エエのか、そんなヤツで。

その香港フィル、初めて聴いたのは1ヶ月ほど前。印象は「弦の音色がこの上もなく美しい...が」。そう、この「が」が、自分でもよくわからない。音色に気ぃ使い過ぎると全体の構成力に欠ける、という事もありがちだが、そういうわけでもない。しかし「何かが足りない」ような気がするんである。ううううむ?

今日こそはその謎を解明できるのか。あ、ちなみに前回の指揮は総監督アッサートン氏(サー・アッサートンかな?)、今日は常任指揮者の葉女史。

さて「香港にしてはかなりの入り」の客席、ステージ裏以外は8割がた埋まり、なかなか華やいだ雰囲気。そこに颯爽と登場した葉女史、マ、なんて軽やかな身のこなし。少年のようにみずみずしい彼女、ホーと感心しとるうちに、ポン、ポンポンポンとこれは、桃太郎侍ではなく、軽快な弦のピチカートで始まるレスピーギ。ひゃーいいじゃん。

てオイ、ひゃーいいじゃんで済んだら、こんなの書く必要ないんだが、私は心底、驚いたぞ。どんなプロであろうと本番は別、最初はまずウォーミング・アップの曲を持って来たいのが人情、しかし、いきなりフルオケ、パーカッションもズラリと揃えた豪華な曲で勝負、わあ。

思わず口あけつつボーゼンとしとるところに、モク氏登場、お次はプッチーニ・メドレー。イヤ違うって、紅白じゃないんだから。歌・オケ・歌で連続3曲。特に前半最後の「Nessun dorma(誰も寝てはならぬ)」は名曲中の名曲、あのパヴァロッティ爺の十八番である。ふーむ、エエ声だしテクもバッチリ、なんちゅうか「正統派」ってカンジ? 美女Aは直ちに心奪われた様子であったが、んー私は、もちょっとクセのある人が好きだなあ。個性的でセクシーな人。イヤ彼には何ら文句のつけようはないんだが。オバサン、うるさくてスマンな。

それよりアタシャ、すっかり葉サマファンに。女性の音楽家を気に入ることは滅多にないんだぞ、言っとくが。何エバってんだか。それにしても(指揮者にしては)若いのに、驚異の構成力&統率力だ、後半も楽しみだぞ。

ここで15分の休憩、ワイン飲み干し、外出て一服、トイレまで行って帰って来ました、ドキドキドキ。なんと葉サマ、登場して拍手鳴りやんだスキに、疾風のようにクルリと半回転して0.2秒で曲開始、キャアアなんてカッコいいの。

後半はやはりハデハデのオッフェンバック特集から。運動会で有名?な「天国と地獄」序曲、そしてクラシック界の大衆娯楽の頂点「ホフマン物語」からの抜粋。いやー音が鳴る鳴る、気持ちいい。続けて「ニューイヤーコンサートと言えば、美しく青きドナウかコレ」の皇帝円舞曲と、同じくシュトラウス2世のスピード感あふれるポルカ「トリッチ・トラッチ」。生麦生米生卵。結局、開演前から最後までずっと立たされてた合唱団も、待ってましたとばかり、いきいきとした掛け合いを聞かせてくれました。バルコニー最前列にいた少年も、踊っておったぞ。

そしてフィナーレに向け、モク君再登場、今度はドミンゴの十八番「Dein ist mein ganzes Herz(君は我が心のすべて)」。オオ、やはり優等生的歌唱は変わらんが、さっきよりちょっと色っぽくなったぞ、いいぞいいぞ、楽屋で酒でも飲んで来たのか? これ一応ドイツ語だけど、やっぱ色気出すには多少イタリア~ンになってもエエじゃろ。そして愛と情熱の感動巨編「グラナダ」、観客は狂喜乱舞。鳴りやまぬ拍手、口笛にブラボーに、わあホントに香港フィルの客かあ、てなぐらい場内騒然。出ましたアンコール、は「オ・ソレ・ミオ」、オットいい曲だがこの選曲、やはり三大テノールを意識しとるのか、はたまたファンサービスか。何れにしろ、素晴らしかったぞ、後はも少し太ればバッチリじゃ。

彼はここまで。しかし興奮した客は、まだまだ許さない。ここでヤヤヤ、おもむろにスタッフが会場で客に「笛」を配り始めるではないか。あの、祭りの屋台などでよく見るヤツだ、丸まってて、吹くとピルピルルーと伸びる例の。名前忘れたが。そう、これで客も参加するんである。サスガはイギリス帰りの葉サマ、ユーモアたっぷりの「シロートさん笛吹きの手引き」トークで大ウケ。更にヤラセではあるものの、オチャメ役のチェロ氏1名とパーカス氏1名が、自分のクビを賭けながらバカやってくれました、キャッホー。

そしてそして嗚呼ついにクライマックスのラデツキー。も、迫力。ああアタシもおダメ、ホントは地味~な印象派の小品とか好きなんだけど、今日は心底、オケ好きゴコロを十二分に満足させていただきました。そなのよ、オケならオケ、ビシッとしてほしい。ウィーンよりベルリン、イギリス男より中国女。同じオーケストラで、ここまで違うとは。イヤ本当はどっちもいいんだが、私はこっちだな、ウン。

というわけで、興奮覚めやらぬまま美女Aをせきたて、酒飲みに向かうべく、98年最後の文化中心および九龍サイドを後にしたのでありました。

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