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Re: 掛緑ライチ

2002-07-05 15:50:00 | [ML] 中日網橋 CJNB
こんにちは。フォックス淳子@香港です。

茘枝! 実はですね。家の庭にも茘枝の老木があるのです。数年前、実をつけていたのを見て「ん?これは茘枝の樹?」と気が付いたのですが(何しろ他にも、バナナやドリアン、ナントカにナントカ、謎の南洋果樹が沢山あるので、全然わかんない)それっきり見なかったので、あれは幻だったのだろうかと思いつつ数年。なんと今年、再び実をつけて、しばし感動して眺めていました。やはり6月中旬頃ですね。

アレが55万元で売れたらな~なんて思ってましたよ(笑)そしたら張さんには海鮮どころか燕窩蓆を御馳走できるし、日本にも行けるし...などと、暫く取らぬ狸の皮算用をしていたのですが、それは只の幻で終わってしまいました。ちぇっ。掛緑ライチとなると、ただ古いだけではなく由緒正しい血筋が必要なのでしょうね。香港でも毎年旬の茘枝が出回りますが、ほとんど広東省など大陸から買っているんじゃないかな。掛緑のような高貴なライチ様も、香港内にはないと思います。

----- Original Message -----
From: "Arthur"
Subject: [CJNB 03907] 掛緑ライチ


>  ***

......そうなんですよ。茘枝の短い一生というのは何だか女の人生を再現しているようで、身につまされます。

採れたての、まだ緑が残り、ほんのり紅に染まった、初々しい少女のような瑞々しい茘枝。やがて紅が一面に広がりひときわ鮮やかに熟した茘枝。味もさることながら、この、目を惹きつけ、思わず手が伸びる紅の彩りこそが、新鮮な茘枝の魅力です。

そして間もなく、紅はすっかり姿を消し、後にはただ、皺に覆われた茶色の実が残る...ヤダヤダ。実際には茶色になった頃は、皮も柔らかくなるし、実は果物の常として濃厚で芳香な大人の味わいになって、それなりに美味しいと思いますが、如何せん「見た目」が全然違うんですよね。どうしても評価がググッと下がります、ガーン。何を感情移入してるのか私(笑)

旬の食べ物というのは、味は別としても、縁起物、或いは希少価値のある物として、有り難がられる所もありますね。茘枝の季節になると毎年、どこで高値がついたとか、競売で史上最高価格で落札とか、そういった話もまた、季節の風物詩の一つです。そうそう、先日55万元の茘枝の話のニュースに併せて「世界の珍味」高値ベスト10の一覧があって、茘枝やトリュフと並んで、鮪など魚好きの日本系もズラリ(^^)

私は高価なものには縁がないですが(松茸食べた事ないぞ)香港に来てからは、通菜や茘枝を見ると「ああ、また夏が来たな」と思うようになりました。

昨年の夏、広州にいらしたばかりで、故郷東北の香り高いメロンを懐かしんでいらした張さん、今年からは可愛らしい南国娘も、季節の思い出の一つとして加わるでしょうか。

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Junko FOX

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1 コメント

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掛緑ライチ (華声和語)
2005-11-21 17:22:48
掛緑ライチ/張継民 原作 フォックス淳子 加筆・校閲

(華声和語 第412号 2002.07.10)

http://www.come.or.jp/hshy/j2002/2002_07b.html



皆さんは茘枝(ライチ)をご存知ですね。中国の広州は茘枝の故郷と言ってもいいでしょう。他の国にあるかどうかは分かりませんが、茘枝は北回帰線の通る地方にしか生えないそうで、同じ広東省でもある地方もあればない地方もあります。広州に来る前には北国で新鮮なライチを食べたことがなかったし、売っていたのは古いものばかりなので、ずっと茘枝は茶色だと思っていました。ヘンな味がするのに、すごく高い値段でいやな果物の一つぐらいにしか考えていなかったのです。



6月中旬に入ると広州では茘枝の完熟季節を迎えました。今年は久しぶりに大豊作の年だそうで、町中が新鮮な茘枝の山でいっぱい、それを見てやっと新鮮な茘枝は真赤であることに気付きました。食べてみたら前のようにヘンな味は全くなく、蜂蜜かと思われる甘さです。以前食べたヘンな味の茘枝は腐っていたに違いありません。



地元の人に聞いたら、茘枝はやはり太陽がまだ昇っていない朝取ったのが一番美味しいそうです。1日経ったら美味しくなくなってしまい、2日目になるとヘンな味がする、3日も経てば食べられなくなってしまうのだとか。新聞紙でしっかり包んで冷蔵庫に入れておけば最高で1週間ぐらいは保存できるようですが、それを聞いてなんとなく、茘枝の短い一生が女性の人生を再現しているかのように感じられました。



採れたての、まだ緑が残り、ほんのり紅に染まった、可憐な少女のように瑞々しい茘枝。やがて紅が一面に広がりひときわ鮮やかに熟した茘枝。味もさることながら、目を惹きつけ、思わず手が伸びるこの紅の彩りこそが、新鮮な茘枝の魅力です。



そして間もなく、紅はすっかり姿を消し、後にはただ、皺に覆われた茶色の実が残る……。実際には茶色になった頃は、皮も柔らかくなるし、実は果物の常として濃厚で芳醇な大人の味わいになって、それなりに美味しいと思いますが、如何せん「見た目」が全然違うので、どうしても評価がググッと下がります、とある女性が何やら悲痛な面持ちで語ってくれた話しでした。



さて、茘枝の名産地の中でも一番有名なのは、広州から80キロの距離にある増城市のものでしょうか。ここには糯米滋、桂味、淮枝の3種のように他の地方でも採れる普通の品種もあり、もちろんこれでも充分品質はよいのですが、この辺りではごくありふれたもので、特別なものとまでは言えないと思います。しかしすごいのは、この土地でしか収穫できない、緑色のリボンのような印が付けられた「掛緑ライチ」と呼ばれるものです。この種類の茘枝は皮を剥いて、ティッシュで包んでも全然濡れないほど特別なもので、遥か昔の乾隆時代より皇帝への献上品として育てられてきたということです。名品中の名品として知られる茘枝は「西園掛緑」という400年の歴史を持つ古木で、今では枝のほとんどは死に絶えてしまい、周りに僅かに残った分枝にほんの少し実をつけるだけ。大豊作の年でも100粒ぐらいしか収穫できないし、値段も信じられないほど高く、去年落札された或る茘枝の値段はなんと一つ5・5万元(約75万円)だったそうなのです。



実は私も6月30日、今年のライチ祭りに行って来たところですが、朝の新鮮な茘枝を満喫し、記念に写真も撮って、楽しい1日を過ごすことができました。



古樹のある場所には大勢の人に加えて報道陣も集まっていて、何かイベントをやっているのかと思って見ていたところ、これが噂の茘枝のオークションだったのです。競売にかけられる10粒のライチはまだ枝についたままで、1から11(4は広東人に縁起の悪い番号なので飛ばしていました)までの番号が付いたリボンを結び、競り落とされると落札者が自分の手で採ることになっているようです。11番から順に競りが始まり、落札価格も一気に去年の最高額の2倍、10万元にまではね上がっていきます。そして最後に競りにかけられた1番の茘枝はなんと55・5万元(約800万円)という超高値で落札されたのでした。



一体何のためにそこまでして茘枝を買うのか、一般的には理解しにくいことでしょう。新聞によると1番目のライチを買った人はそれを6等分して、5人の友達と一緒に大切に食べたようです。しかし面白い話もあって、11番目の茘枝を買った人は冷蔵庫に入れたまま3日間も忘れていたばっかりに、後で奥さんに聞いたら何と捨ててしまったのだとか。



茘枝の競売について更に詳しく聞いてみたところ、こういった茘枝を買う人の多くは増城に生まれ、香港や広州で事業をやっている人だそうで、故郷の発展へのサポートとしてやっているようです。また彼らのような実業家にとってはビジネスの宣伝にもなるようで、去年1番の茘枝を買った李さんが語ったところによると、実際に過去1年の売上はおととしと比べ20%も上がったということでした。



華南ではライチは夏の風物詩の一つとして親しまれているようですが、ここ増城の「西園掛緑茘枝」は、ただ旬の食べ物というだけではない。それどころか地方の「看板」文化としてかけがえのない意味を持っているのだということがわかった貴重な1日でした。
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