攻撃は最大の防御とは云うけれど・・・
残るはブラジル戦と云うところで、何と日本は4戦全勝。他の試合の結果が解っていた為、試合前から日本の銀メダル以上は確定していました。これに気を良くしていたせいか、ベルギー戦の第1セットは26-24と意外な苦戦状況。しかし気を取り直して、結果、3-0のストレート勝ち。それはそうでしょう。こう言っては相手に失礼ですが、どう考えても負けてはいけない試合だったのですから。
ところでMB・1に続く今回のHybrid・6システム、一見理には叶っているのですが、どうも私には『両刃の剣』の様に思えて仕方ありません。攻撃は最大の防御。それはシステムが問題無く稼働している時の話し。確かに4戦全勝で初戦のロシアで3-1と1セットを落としただけで、残り3試合は全て3-0のストレート勝ち。数値だけを見ていると、素晴らしいシステムだ…と云えるのですが、そうともばかりは言っていられません。
この結果が出たその裏には、このシステムの弱点が見え隠れしていたのです。それは『防御』、即ちディフェンス面です。もしもリベロの佐野優子がいなかったら、この結果はまた別のものになっていたでしょう。ディフェンスと云えば新鍋理沙と大野果奈のナイスプレイが目立っていました。しかしローテーションの事も有り、この三人が常にディフェンスに回っていられるというわけでは有りません。攻撃力が厚くなったおかげでディフェンスにほころびが生まれかねないのです。
ここ迄の日本の失点は7セットで244点、単純計算で1セット辺り18.76失点。比較的少なく済んでいますが、それもその筈、相手がトルコ、シナ、ベルギーだったのですから。現にロシア戦では22-25,25-20,25-21,25-17と接戦状態でした。ポジションの垣根を無くす、それはそれで一つの考え方ですが、余りにも攻撃重視の考えに偏ってディフェンス力の低下に繋がりはしないか・・・というのが私の危惧するところなのです。真鍋監督の言う「調子のいい選手を優先的に使える」と云うのは確かにその通りなのですが、その言葉はどうも攻撃にしか向いていない様な気がするのです。
いい例が江畑の起用です。元々ムラが大きく、左サイドの攻撃が特徴であり、広範囲の速い動きには不向きな上に、ディフェンス力は不安の塊り。控え組の中から起用するのなら、⑦山口舞という優れた選手を起用すべきです。
今回の招集選手の中からは、①長岡、③木村、⑥佐野、⑫石井、⑬新鍋、⑰大野、⑲宮下が一応の不動のメンバーということになるのでしょうか。このメンバーならHybrid・6システムを機能させられるでしょう。中でも『核』になるのはやはり⑥佐野と⑲宮下の二人でしょう。⑥佐野はこのチームの守護神としてなくてはならない存在だし、⑲宮下はポスト竹下佳江の期待が掛った若き成長株。この大会でも一試合毎にその成長が見て取れる。彼女に最も必要なのは、経験の積み重ね以外の何物でもありません。
ところでこの大会には右肩の負傷で出場出来なかった「美翔女」迫田さおりは、どんな気持ちでHybrid・6を観ているのでしょう。ここに彼女がいれば、このシステムはほぼ完成したと言っても過言ではない筈。早く復帰してくれる事を待ち侘び、期待しています。このHybrid・6には絶対に欠かせない選手です。まさに「美翔女」迫田さおりの為のシステムの様な物なのですから。
今回の選手達には、先程来指摘している「穴」となりえるディフェンスに、もっと気を配ったプレイを期待しています。「全てのポジション」という言葉の中には、「攻撃以外にも」と云う意味が有るのですから。ましてや金メダルを賭けた最終戦の相手はブラジルなのですから。
大丈夫ですよね、期待して見守っています。頑張って下さい。
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