気の向くままに junne

不本意な時代の流れに迎合せず、
都合に合わせて阿らない生き方を善しとし
その様な人生を追及しています

6.15. 小浜島へ、 与那国島へ

2022年06月16日 | 日記・エッセイ・コラム

6.15.  移動と別れの前夜

今朝は夜の名残りの雨が降り続き、勢いを失いかけた雨音のメロディーが、何故か静止した時の流れを感じさせていた。その雨も午前中迄。何をやるにも気後れして億劫だった私は昼食まで抜いた。しかしそんな私もやはり海の魔力の誘いに負けたのか、三時頃オヤジが舟を出すというので、いつも通り西桟橋から沖へ出て潜った。
普通の泳ぎはまだまだ上手くはないけれど、スノーケリング…潜りの方は自信がついてきた。これは海の魔力のなせる技に違いない…と思う。それも珊瑚の海だからだ。赤い珊瑚の周りには赤い、青には青い、そして色鮮やかなストライプ模様の熱帯魚が群れをなして泳いでいた。水中メガネごしに見る海底の様相は、もう、本当に口では言い表せない程のものだ。特に東京で生まれ育った私には、たとえこの地の人達にとって何でもないその光景でも、とても珍しく言及不可能な感激を与えてくれる。

夜は夜で毎度お馴染みの酒宴があったのだけれども、私は章子の部屋にいた。お決まりの「泡盛会」の酒席を離れて、十時頃迄姉さんと話しの花を咲かせていた。
「ネェ、ジュン、私やっばり小浜島に行ってみたい」
「…そう、気が進まないなぁ。…そりゃあサ、出来る事なら八重山を全部見て廻って、この竹富の様な処を他にも見つけ出してみたいとは思っているけれど…、でもサァ、何となく何か引っ掛かる、…アソコは…」
「どうして…?」
「判んない。ここに来る迄はそんな島が在るなんて知らなかったし、誰かから何かを耳にしたって事でもないんだけど、つまりサ、そう、閃きみたいなものなんだけど…」
「ふ〜ん、私が一緒でも?」
「……」
「ねェ、行こうよ、ジュン」
「❨ため息❩ OK、判った…姉さん、行こう」
「やったね、そうこなくっちゃ、やっと重い腰を上げた、ふふふ…」
「私が行くって言う事、判ってたんでしよ?」
「まあね」
「やっばりね…。そんな事だろうと思ってた。それで、何日頃?もうその日程も考えてあるんでしよ?」
「バレてるのね。うん、出来たら18日の水曜日頃にしてみたいの」
「…って事は、…三日後って、何か意味あるの?」
「別にないわ。ただ、この竹富もすごく気に入ったし、あと少しだけここに居たいなァって思ったから。ねェ、いいでしょ?」
「そりゃ、そういう事なら…って状況になっているじゃない」

章子の言い出した小浜島行きは、結局、章子の甘えの様な粘りの為に、行く事に決定したのだった。しかし未だ見ぬ小浜島に対して、何故良からぬ予感をしてしまうのか自分でも理解出来ない。
そんなこんなの時間が流れ、戻らねばならない泉屋へ帰って来ると、酒会はまだ続いていた。それで私も仲間に入り飲み始めると、毛利と須藤が明日与那国島へ行く為ここを離れ、取り敢えず石垣島へ渡るという事を聞いた。二人とは8〜9日間の夜を過ごした仲でもある為か、初めの一人旅を忘れ、名残り惜しさを感じでしまう。真夜中の煙草会も、虫に悩まされる夜も今夜が最後かと思うと、八日間の事がまるで嘘みたいな時の速さとして感じられる。でも、またいつの日にか二人に再会する事だろう。そうなったとしたら、それは『意外な狭さ』が在る為なのかもしれない。私はまだ十日目、その狭さを見ていない。

 

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