気の向くままに junne

不本意な時代の流れに迎合せず、
都合に合わせて阿らない生き方を善しとし
その様な人生を追及しています

6.14. (後編)

2022年06月15日 | 日記・エッセイ・コラム

    夕日と宴会

お昼から三時半頃迄浜辺にいた後一度戻り、お互いにシャワーを浴びる事にした。暫くすると姉さん(章子)が泉屋迄来た。
少し話しをした後カメラを持ち出して近くの「見晴らし台」に登った。「見晴らし台に登った」といってもそれ程高いものではなく、感じとしては公園などによく見られる小高く盛り上がった、高さ7〜8mの高台の様な所である。それは琉球王朝時代の官船の為に篝火を焚いた所であった。今で言う灯台の跡だ。
夕辺の時を楽しみここでも写真を撮った。その見晴らし台でのひとときの後、『そろそろ夕食の頃では…』という事で、何となく名残りを惜しみながら別れる事にした。

帰ってみるとやはり夕食の時間。三人、四人…とボチボチ食卓に着き始めていた。夕食を食べながら外を見ると、そろそろ陽の沈み始める頃合いであった。誰が言い出したのか、
「早く食べて夕陽を見に行こう」
という事になり、私も賛成でそれに従った。竹富島西桟橋の夕陽。何度見ても飽きる事の無いこの様な夕陽を、私はこれ迄どんな場所でも見た事はない。いや、確かに素晴らしい夕陽は見た事は有るけれど、指折り数える程度である。そしてそれ等とは比べられない(と思う程)、ここでは感動的なのである。ここでもまた写真を撮ったのであるが、多分上手くは写ってはいないだろう。何となくそう思う。なにしろオリンパスOMー1、買ってから未だ間もなく、上手く扱えてはいないのだから。
 
日が沈んだあと暫くしてから泉屋に戻ると、オバちゃんがグラスなどを並べ始めだしていた。それを手伝っていると、いつしか宴会が始まっていた。例によりオヤジの三線と島の民謡、そして伝承されている話しなどが部屋に溢れる…、私は求める世界の中に取り込まれてゆく。
九時半になると大浜荘迄走って章子を迎えに行った。これは、何を考えての事か、オヤジの指示だった。今夜の酒盛りに章子をお客様として招く事になった為である。一口に民宿といってもそれぞれで、章子の泊まる大浜荘ではこの様な集りは無いという。人それぞれだけれど、当たり外れが有るみたいだ。その為か、章子がとても楽しんでいた様に見えた。
 
11時過ぎ、酒盛りも終わりになる頃、私は章子を大浜荘への途中迄送って行った。
「少し酔ったかな…」
「だいじょうぶ?」
「えっ、あっ、うん平気よ。それ程飲んだわけじゃないし」
「ならいいけど。でも、足がフラついているじゃない。ウン、そうだ、ちょっと目を閉じて真っ直ぐに立ってみて」
「平気だってば、…わかったわよ。アナタがそう言うんならやってみせるわよ。ホラ…」
と言った姉さんは、本当に何でもない様であった。と、そう思った時、いきなり姉さんの顔が私の胸の中に飛び込んできた。肩の下まで伸びた細く長い髪は、うらやましいくらいサラサラと指のとおりが良く、風の止まった星明りの下で甘い香りを漂わせていた。
「ホラ…ね、フフ、何ともないでしょう」
「どうだか…」
「お願い、そういう事にしておいて…、ね。今夜は呼んでくれて有りがとう」
「楽しめた?」
「うん、とても。それにアナタの自作の歌も聴けたしね。見送ってくれて有りがとう。もうこの辺でいいわ。私なら本当にだいじょうぶだから…」
 
さすがはお姉さま、酒の飲み方も楽しみ方も知っている。帰り道、私の酔いも少しづつさめ始めでいた。

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2 コメント

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Unknown (サチ)
2022-06-16 13:15:43
写真の色がすごくいい!と思いました。文とマッチしています。これからも楽しく読ませて頂きます。
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Unknown (junne-junko)
2022-06-17 01:57:47
下町図書館へ入館、ありがと〜!
古〜い日記の古〜い写真を気に入ってもらえて嬉しいよ。
いつ迄続けられるかなぁ?
=気まぐれ図書館・学芸員=
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