私の小学校時代は、まだ戦後が色濃く残っていた頃
廊下を走ると、特攻隊帰りの先生に革のスリッパで、ビンタされた。
親に話すと「お前が悪い」と言われる。
そんな小学校二年生の時、魔法使いとあだ名された女先生が、
みんなの手相をみてくれた。
「あらお嫁さんになれるわよ」「働き者だね」などなど・・
そして私の手相を見たとき、顔色を曇らせ
「苦労するけど、老後は安心だから」と言って、そそくさと私の元を離れた。
当然、その時の私には「老後」は想像の外である・が、この「老後は安心だか
ら」という言葉は、私の人生で魔法のような効果を発揮したのである。
"つらい時""仕事に行き詰ったとき""人間関係が上手く行かなかった時"
様々な場面で「今は大変だけど『老後は安心だから』」と自分に言い聞かせる
呪文になったのである。不思議と危機を乗り越える効き目はあった。
だが、ここに来て大いなる疑問が・・・
「老後」とはいつのことを言うのか
「老いた後」とは、後期高齢者の私は老いの真っ最中である。
「余生」なら分かりやすいが、「「老いた」・「後」」の「後」とは
天国か地獄しかないではないか。
てなことを酒の肴に友人に話したら
「きっと、地獄に行っても血の池の番人になるとか、天国に行っても何かの
管理人になっているとか、じやないのか」と。
う~ん、わからない。
魔法使いの先生よ、苦労が続いている私は、まだ老後ではないのだろうか?