第十三節
孟子が齊の宣王に言った、
「王様のご家来で、自分の妻子を友人に預けて、楚の国へ旅行に行った者がいるとして、その者が国に帰ってきたら、友人が妻子を凍え飢えさせていたとしたら、その者をどうなさいますか。」
王は言った、
「そのような者は見限って、用いない。」
「裁判官がその部下を上手に管理することが出来ず、職務を果たせないとしたら、どうなさいますか。」
王は言った、
「これを罷免するであろう、」
「それでは、国内が治まらなかったら、どうなさいますか。」
王は自分の責任を言われていることに気づき、返事に困ってしまい、左右の者を見て、話をそらしてしまった。
孟子謂齊宣王曰、王之臣有託其妻子於其友、而之楚遊者、比其反也、則凍餒其妻子、則如之何。王曰、棄之。曰、士師不能治士、則如之何。王曰、已之。曰、四境之內不治、則如之何。王顧左右而言他。
孟子、齊の宣王に謂いて曰く、「王の臣、其の妻子を其の友に託して、楚に之きて遊ぶ者有らんに、其の反るに比びてや、則ち其の妻子を凍餒(トウ・ダイ)せば、則ち之を如何せん。」王曰く、「之を棄てん。」曰く、「士師、士を治むること能わずんば、則ち之を如何せん。」王曰く、「之を已めん。」曰く、「四境の內、治まらずんば、則ち之を如何せん。」王、左右を顧みて他を言う。
<語釈>
○「遊」、日本語の遊ぶとは意味が少し違い、その地へ出かけることを言う。○「凍餒」、「餒」(ダイ)は飢える意、凍え飢えること。○「棄之」、解釈に二説がある、趙注、朱子は、友人と絶交する意に解する、安井息軒を始めとしてわが国では、文字通り棄て去る意に解する人が多い、最初に「王之臣」という言葉が有るのが根拠になっている、私もそれに賛成である。○「士師」、趙注:「士師」は、獄の官吏なり。監獄の番人ではない、裁判官のような訴訟を掌る者、猶ほこの下の「士」は部下の官吏そ指す。○「王顧左右而言他」、趙注:王、慙ぢて、左右顧みて視、他事を道う。
<解説>
さほど解説の余地もないので、趙岐の章旨を挙げておく。
「君臣上下、各々其の任に勤め、其の職を堕ること無くんば、乃ち其の身を安んずるなり。」
孟子が齊の宣王に言った、
「王様のご家来で、自分の妻子を友人に預けて、楚の国へ旅行に行った者がいるとして、その者が国に帰ってきたら、友人が妻子を凍え飢えさせていたとしたら、その者をどうなさいますか。」
王は言った、
「そのような者は見限って、用いない。」
「裁判官がその部下を上手に管理することが出来ず、職務を果たせないとしたら、どうなさいますか。」
王は言った、
「これを罷免するであろう、」
「それでは、国内が治まらなかったら、どうなさいますか。」
王は自分の責任を言われていることに気づき、返事に困ってしまい、左右の者を見て、話をそらしてしまった。
孟子謂齊宣王曰、王之臣有託其妻子於其友、而之楚遊者、比其反也、則凍餒其妻子、則如之何。王曰、棄之。曰、士師不能治士、則如之何。王曰、已之。曰、四境之內不治、則如之何。王顧左右而言他。
孟子、齊の宣王に謂いて曰く、「王の臣、其の妻子を其の友に託して、楚に之きて遊ぶ者有らんに、其の反るに比びてや、則ち其の妻子を凍餒(トウ・ダイ)せば、則ち之を如何せん。」王曰く、「之を棄てん。」曰く、「士師、士を治むること能わずんば、則ち之を如何せん。」王曰く、「之を已めん。」曰く、「四境の內、治まらずんば、則ち之を如何せん。」王、左右を顧みて他を言う。
<語釈>
○「遊」、日本語の遊ぶとは意味が少し違い、その地へ出かけることを言う。○「凍餒」、「餒」(ダイ)は飢える意、凍え飢えること。○「棄之」、解釈に二説がある、趙注、朱子は、友人と絶交する意に解する、安井息軒を始めとしてわが国では、文字通り棄て去る意に解する人が多い、最初に「王之臣」という言葉が有るのが根拠になっている、私もそれに賛成である。○「士師」、趙注:「士師」は、獄の官吏なり。監獄の番人ではない、裁判官のような訴訟を掌る者、猶ほこの下の「士」は部下の官吏そ指す。○「王顧左右而言他」、趙注:王、慙ぢて、左右顧みて視、他事を道う。
<解説>
さほど解説の余地もないので、趙岐の章旨を挙げておく。
「君臣上下、各々其の任に勤め、其の職を堕ること無くんば、乃ち其の身を安んずるなり。」
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