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『蒼ざめた馬』 アガサ・クリスティ (著),橋本福夫 (翻訳)

2017年08月31日 22時28分00秒 | ■読書
「アガサ・クリスティ」のミステリ長篇『蒼ざめた馬(原題:The Pale Horse)』を読みました。


無実はさいなむに続き、「アガサ・クリスティ」作品です。

-----story-------------
霧の夜、神父が撲殺され、その靴の中に九人の名が記された紙片が隠されていた。
そのうち数人が死んでいる事実を知った学者「マーク」は調査を始め、奇妙な情報を得る。
古い館にすむ三人の女が魔法で人を呪い殺すというのだ。
神父の死との関係を探るべく「マーク」は館へ赴くが…。
オカルト趣味に満ちた傑作。
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1961年(昭和36年)に刊行された「アガサ・クリスティ」のミステリ長篇、、、

「エルキュール・ポアロ」「ミス・マープル」も登場しないノン・シリーズモノですが… 「名探偵ポワロ」モノにちょくちょく登場する「アリアドニ・オリヴァ夫人」が登場する作品でした。

霧の深い夜のロンドン市内のある司祭館に「マイク少年」が訪ねて来た… 近くの下宿屋で感冒で苦しんでいる「ミセス・デーヴィス」の容態が悪化し、死ぬ前にローマンカトリックの神父に会いたいと願ったのだった、、、

司祭館の「ゴーマン神父」は求められるままに下宿屋に向かい、ベッドに横たわる「ミセス・デーヴィス」の枕辺に立った… 「ミセス・デーヴィス」の容態はかなり悪く、「ゴーマン神父」に向かって苦しげな声で懺悔を願った。

そして、小さな声で「とめなければ……とめなければいけません……どうかあなたが……」という言葉を残し亡くなってしまう… 「ゴーマン神父」「ミセス・デーヴィス」を看取ると霧の中を歩き、喫茶店に入って「ミセス・デーヴィス」から聞いたことを忘れないようにメモに書き、それを靴の底に入れて再び霧の町に出た、、、

暗い通りを歩く「ゴーマン神父」の背後から忍び寄る影… そして振り下ろされる棍棒… 「ゴーマン神父」は一撃のもとに倒され、帰らぬ人となった。

誰からも愛されていた清貧な「ゴーマン神父」を殺したのは誰か、警察は「ゴーマン神父」の体を隅々まで調べ、靴の中からメモを探し出した… それには「オーメッド」「サンフォード」「パーキンソン」「ヘスケス=デュボイス」「ショウ」「ハーモンズワース」「タッカートン」「コリガン」「デラフォンテイン」という名前が書かれていた、、、

「タッカートン」はついこの前喧嘩をし、一週間後に病死した女の子であった… 「ヘスケス=デュボイス」は、金持で快適な暮らしをしていたうるさ型の老女だったが、この年の4月に死亡していた… 捜査を進めるうち、「ゴーマン神父」のメモに書かれていた人物のうち、病死しているものが何人かいることが判明し、「ゴーマン神父」の死の裏には重大な犯罪が絡んでいると思われた。

そして、「蒼ざめた馬」という名の元居酒屋で、村人から魔女と呼ばれている「サーザ・グレイ」「シビル・スタンフォーディス」「ベラ・ウェッブ」の三人により行われているという霊媒占い、呪術が絡んでくることにより、事件はオカルト性を秘めた事件に発展していく… オカルト的な展開をみせつつも、結局は「クリスティ」得意の毒殺モノに落ち着いていき、犯人の意外性もあり、真相が徐々に判明する終盤以降の展開は愉しめましたね、、、

でもなぁ… 虚栄心さえなければ、もっと謙虚に行動していれば、真相は露見しなかったでしょうにねぇ… 自分が周りの人たちよりも優れているという誤解や、それによる油断が落とし穴になるんですね。

霧が出たくらい通りでの目撃にも関わらず、目撃情報が詳しすぎる… 人相に関する記憶に自信を持ちすぎている、、、

そこで気付くべきでしたね… そして、序盤の二人の女性が喧嘩した際に、余りにも簡単に大量の頭髪が抜けたことに疑問を持っていれば、毒殺のセンも早く気付いてんでしょうが、気にせず読み飛ばしていたなぁ。

序盤から中盤の展開にもどかしさを感じましたが、法的に取り締まれない呪術的な方法による殺害に見せかけた毒殺という真相と、意外な犯人が愉しめる作品でした。



以下、主な登場人物です。

「マーク・イースターブルック」
 学者

「アリアドニ・オリヴァ」
 推理作家

「ローダ・デスパード」
 マークのいとこ

「ヒュー・デスパード」
 ローダの夫、大佐

「ゴーマン神父」
 司祭

「オーメッド」
「サンフォード」
「パーキンソン」
「ヘスケス=デュボイス」
「ショウ」
「ハーモンズワース」
「タッカートン」
「コリガン」
「デラフォンテイン」
 神父のリストにあった人たち

「デーヴィッド・アーディングリ」
 マークの友人、歴史学の講師

「パメラ・スターリング(ポピー)」
 デーヴィッドのガールフレンド、花屋勤務

「ジンジャ」
 赤毛の若い女、マークの女友達

「ミセス・デーヴィス」
 病死した女

「サーザ・グレイ」
 「蒼ざめた馬」館の住人

「シビル・スタンフォーディス」
 「蒼ざめた馬」館の住人

「ベラ・ウェッブ」
 「蒼ざめた馬」館の料理人

「ヴィネーブルズ」
 プライアズ屋敷の住人。車椅子の老人。

「ブラッドリイ」
 弁護士

「ザカライア・オズボーン」
 薬剤師

「アイリーン・ブランタン」
 コーヒー店に勤める女

「ジム・コリガン」
 警察医

「ルジュヌ」
 方面本部捜査課警部

「ハーミア・レッドクリフ」
 マークの女友達

「デーン・キャルスロップ夫人」
 牧師夫人





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