東京でカラヴァッジョ 日記

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「デ・キリコ展」(東京都美術館)

2024年06月06日 | 展覧会(西洋美術)
デ・キリコ展
2024年4月27日〜8月29日
東京都美術館
 
 
 10年ぶりの回顧展だという。
 2014年の岩手・静岡・東京を巡回した「ジョルジョ・デ・キリコ-変遷と回帰」展以来ということになる。
 ✳︎東京会場は、パナソニック汐留ミュージアム(現パナソニック汐留美術館)。
 
 デ・キリコ(1888-1978)については、1910年代の「形而上絵画」が全て、という先入観、固定観念を持つ私。
 
 日本で開催される回顧展は、期待する1910年代作品はほぼなく、1920年以降50年以上にわたる「長い」晩年の、1910年代作品を再制作した作品や1910年代作品の部材を再活用した作品などが展示の大半となり、画家の真価を味わうには至らない、と思い込んでいる。
 
 それでも、晩年の作品があるからこそ、日本でも回顧展が開催できて、数点であっても1910年代作品を見ることができる。
 
 
 2014年の回顧展では、1910年代作品は、「序章」扱いで、以下4点の出品であった。
 
《ポール・ギョームの肖像》
 1915年、パリ市立近代美術館
《謎めいた憂鬱》
 1919年、パリ市立近代美術館
《遠い友からの挨拶》
 1916年、個人蔵(ガレリア・デッロ・スクード、ヴェローナ寄託)
《福音書的な静物》
 1916年、大阪新美術館建設準備室
 
 2024年の回顧展では、1910年代作品は、Section2「形而上絵画」にて11点の出品。想像していたよりは多い。
 
 
【本展の構成】
Section1 自画像・肖像画
Section2 形而上絵画
 形而上絵画以前
 2-1 イタリア広場
 2-2 形而上的室内
 2-3 マヌカン
Section3 1920年代の展開
Section4 伝統的な絵画への回帰-「秩序の回復」から「ネオ・バロック」へ
Section5 新形而上絵画
 
 
【1910年代作品の出品;Section2 形而上絵画】
 
「形而上絵画以前」1点
   (うち1910年代:1点)
 
《山上への行列》
1910年、50×50cm
ブレシア市立美術館
 
 
2-1「イタリア広場」5点
   (うち1910年代:2点)
 
《沈黙の像(アリアドネ)》
1913年、99.5×125.5cm
ノルトライン=ヴェストファーレン州立美術館(デュッセルドルフ)
 
《大きな塔》
1915年(?)、81.5 x 36cm、
個人蔵
 
 
2-2「形而上的室内」9点
   (うち1910年代:4点)
 
《運命の神殿》
1914年、33.3x41cm
フィラデルフィア美術館
 
《福音書的な静物1》
1916年、80.5x71.4cm
大阪中之島美術館
 
《形而上のコンポジション》
1916年、33.5x26.7cm
ジャン・エンツォ・スペローネ・コレクション
 
《サラミのある静物》
1919年、30.8✕40.4cm
トリノ市立近現代美術館
 
 
2-3「マヌカン」13点
  (うち1910年代:4点(含む素描2点))
 
《予言者》
1914-15年、89.6× 70.1cm
ニューヨーク近代美術館
 
《哲学者と詩人》
1916年、鉛筆/紙、28.1×21.8cm
ローマ国立近現代美術館
 
《貞淑な花嫁》
1917年、鉛筆/紙、32x22cm
ローマ国立近現代美術館
 
《形而上的なミューズたち》
1918年、54.3× 35cm
カステッロ・ディ・リヴォリ現代美術館(フランチェスコ・フェデリコ・チェッルーティ美術財団より長期貸与)(トリノ)
 
 
 再制作作品、部材を再活用した作品についても、ポップ・アートの先駆け、自作品をポップする、と思って見ると、楽しめるかも。
 
 
 1947年(60歳)から亡くなるまでの30年、画家が過ごした住居兼アトリエは、ローマのスペイン広場にある。
 1990年に亡くなった妻の遺言により、1998年からジョルジョ・デ・キリコ邸宅美術館として一般公開されているという。
 スペイン広場というロケーション。どんな邸宅だったのか、どんな眺望がのぞめるのか、一度行ってみたいもの。


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