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「三島喜美代 未来への記憶」(練馬区立美術館)

2024年06月10日 | 展覧会(現代美術)
三島喜美代 未来への記憶
2024年5月19日〜7月7日
練馬区立美術館
 
 
三島喜美代。
1932年、大阪市十三生まれ。91歳。
 
 1950年代、絵画を出発点に現代美術家としての活動を開始する。
 1960年代には、新聞や雑誌などの印刷物をコラージュした作品やシルクスクリーンを用いた平面作品を制作する。
 
《ヴィーナスの変貌》
1967年、個人蔵
 英字新聞を背景に、ボッティチェッリのヴィーナス36体をシルクスクリーンで転写。
 
 
《メモリーIII》
1971年、個人蔵
(部分)
 夫が貯めていた阪神・中京・小倉の競馬場の馬券と出走表によるコラージュ。意外にも綺麗。
 
 
 
 1970 年代に入ると表現媒体を一転、シルクスクリーンで印刷物を陶に転写して焼成する立体作品「割れる印刷物」を手掛け、大きな注目を集める。
 
《Untitled》
制作年記載なし、個人蔵
 岡田彰布の現役晩年のスキャンダルを選んだのは何故。
 
 
《Column-2》
1984-85年、滋賀県立陶芸の森  陶芸館
 1984年3月の江崎グリコ社長誘拐事件。
 元倉庫を改修したギャラリーでの個展開催にあわせて制作された作品。ギャラリー空間のシンボル的存在だったコンクリート柱を、基底部を中心に再現し、その頭部を陶で作った新聞でくるみ、縄をかけてオブジェ化。
 
 
《FOCUS 91》
1991年、個人蔵
 1984年開館の滋賀県立近代美術館(現:滋賀県立美術館)の初代館長を取り上げる記事。
 当時「公立美術館初の女性館長」としてマスコミに盛んに取り上げられたらしい。役人だったようだ。
 作品名と記事の時期が一致しない?
 
 
 
 大量の新聞や雑誌がすぐに消費されてゴミとなるように、情報からゴミへと三島の問題意識も次第に移っていく。
 空き缶や段ボールなど身近なゴミを題材に陶で再現した作品、産業廃棄物を高温で処理した溶融スラグを素材とする作品を発表。
 近年は、自ら集めた鉄くずや廃材を取り込んだ作品制作も行っている。
 
《Work  17-C》
2017年、ポーラ美術館
 
《Work  21-C2》
2021年、個人蔵
 現実の缶用のゴミ箱は、これほど綺麗ではない。
 
 缶に触れるコーナーが用意されている。
 実物より大きくて重い。中身入りより重い。
 
 
 
 1980年代中頃に始まる大規模なインスタレーションによって、三島作品の巨大化は頂点に達する。
 
《20世紀の記憶》
1984-2013年、個人蔵
 
 その代表作とされる《20世紀の記憶》は、約200平方メートルの床一面に、使い古した不揃いの耐火レンガ・ブロック1万個余りをぎっしり敷き詰めている。
 各レンガの表面には三島が20世紀の100年間から抜き出した新聞記事が転写されている。
 
 
 これは圧巻。
 どんな記事が選ばれたのか。
 手前にあるレンガを見る限り、同じ記事が何個も見られる。
 記事の種類は見た目ほどではないかもしれない。
 
 関東大震災の記事は、手前の範囲で、3個見つける。
 
 本作は、普段は東京都大田区のART FACTORY城南島(株式会社東横インの運営)において常設展示されているという。
 常設展示が復活したら一度訪問してみよう。
 
 
 83点の展示で、想像以上に楽しめる個展。
 紙媒体はとっつきやすい。
 ネットを対象とするならば、制作手法の再構築が必要となるだろう。


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