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クレラー=ミュラー夫妻が購入したファン・ゴッホ作品 ー 【その2】「ゴッホ展 響きあう魂 ヘレーネとフィンセント」(東京都美術館)

2021年10月20日 | 展覧会(西洋美術)
ゴッホ展  
響きあう魂  ヘレーネとフィンセント
2021年9月18日〜12月12日
東京都美術館
 
 
   東京都美術館にて開催中のゴッホ展。
 
   クレラー=ミュラー夫妻が購入したファン・ゴッホ作品について、何年に、どの作品を、いくらで購入したかをまとめた説明パネルが用意されている。
 
   私的に非常に興味深かったので、以下、内容を記載する。
 
 
   クレラー=ミュラー夫妻は、1908年から1929年にかけて、ゴッホ作品を、油彩画97点、素描・版画180点購入した。
   ただし、ゴッホ作品として購入したが現在ではゴッホによるものと考えられていない油彩画が7点あり、それを除く真筆のゴッホ作品は、油彩画90点、素描・版画180点となる。
   これらのなかには、現在クレラー=ミュラー美術館の収蔵ではない作品も含まれている。
 
【年別購入点数】
✳︎正確には、1923年の2点は「1923年以前」、1925年の1点は「1921-25年」である。
 
 
【初めて購入したゴッホ作品】
 
《森のはずれ》
1883年8-9月制作
1908年購入
 
   ヘレーネが初めて購入したゴッホ作品は、画家がハーグからドレンテに移る少し前に制作したもの。
   購入価格110ギルダー。今回のゴッホ展出品作。
 
 
《枯れた4本のヒマワリ》
1887年8-10月制作
1908年購入
 
   ヘレーネが2番目に購入したゴッホ油彩画作品は、パリ時代の「ひまわり」。
   購入価格4,800ギルダーと、かなりのお値段となっている。今回のゴッホ展には出品されていない。
 
 
【最後に購入したゴッホ作品】
 
《自画像》
   現在ではゴッホによるものとは考えられていない作品。
 
   1920年代後半、ドイツの美術商ヴァッカーがベルリンの自らの画廊で、ゴッホ作とされる少なくとも33点の作品を売りに出す。それらの真正性について専門家による議論が起こり、情勢は二転三転する。ヘレーネの美術コレクションのアドバイザーであるブレマーはこれら作品群は真作であるとする信念を曲げず、ブレマーを支持するヘレーネは、同画廊から1928年に《サント=マリー=ド=ラ=メールの海景》を、1929年に《自画像》を購入する。
   世界第2のゴッホ・コレクションを形成したヘレーネも、最後に購入した油彩画2点は贋作であった、という寂しい晩節となる。
 
 
【購入価格トップ8】
★は今回のゴッホ展出品作を示す。
 
1位:25,000ギルダー
《花咲く桃の木(マウフェの思い出)》
1888年3月制作
1918年購入
 
 
2位:18,000ギルダー
《サン=レミの療養院の庭》★
1889年5月制作
1920年購入
 
 
3位:17,500ギルダー
《善きサマリア人(ドラクロワによる)》★
1890年5月制作
1912年購入
 
 
4位:17,000ギルダー
《公園の小道》
1888年9月制作
1920年購入
 
 
5位:16,000ギルダー
《タマネギの皿のある静物》
1889年1月制作
1913年購入
 
 
5位:16,000ギルダー
《アルルの跳ね橋(ラングロワ橋)》
1888年3月制作
1912年購入
 
 
7位:13,500ギルダー
《緑のブドウ園》★
1888年10月制作
1920年購入
 
 
8位:13,000ギルダー
《プロヴァンスの積みわら》
1888年6月制作
1920年購入
 
 
   今回ゴッホ展の目玉作品《夜のプロヴァンスの田舎道》1890年5月制作、1912年購入は、購入価格10,000ギルダーで、トップ10には入らない。
 
 
   なお、クレラー=ミュラー美術館を代表する次のゴッホ作品は、購入価格は不明のようである。
《夜のカフェテラス(フォルム広場)》
1888年9月制作
1914年購入


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