下村観山
《椅子の聖母子・巌上の鵜》
1904年頃
東京国立博物館
日本画家である下村観山(1873-1930)は、明治36年(1903)に文部省の留学生としてイギリスに渡り、美術博物館の視察と、色彩の研究を第一の目的として西洋画の研究や模写を行う。明治38年(1905)に帰国。
本作品は、大英博物館にあるらしい、ラファエロ《小椅子の聖母》を模写した作品を写したものとされている。
私的には、初見。
大英博物館にある、ラファエロ《小椅子の聖母》を模写した作品を写した観山の作品は、横浜美術館も所蔵している。
さらに、横浜美術館は、観山が英国留学のあと欧州を巡遊した際に、ウフィツィ美術館にて、同館が所蔵するラファエロ作《ヒワの聖母》オリジナルを写したと思われる作品も、所蔵している。
間にある大英博物館の模写作品がないことは、気になるところだが・・・。
ラファエロ《小椅子の聖母》オリジナルと、観山の東博所蔵の模写の画像を並べる。
ラファエロ《ヒワの聖母》オリジナルを写したのであれば、観山は、ラファエロ《小椅子の聖母》オリジナルもきっと見ているのだろう。
【おまけ画像】
河鍋暁斎
《豊干禅師》
明治時代・19世紀、175.7×366.6cm