日本国宝展
2014年10月15日~12月7日
東京国立博物館
10/15から開催の「日本国宝展」、早速金曜の夜間開館に行ってきました。
「日本国宝展」と題する展覧会は、直近1990年、2000年にも開催されているが、私は行っていないので、今回初訪問となる。
到着18:40で、鑑賞可能時間は80分。
この時間でも相応の混雑で、平成館のコインロッカーに空きがないほど。
ただ時間が経つにつれて、人は減るはず。
出品数は、119点+正倉院宝物11点。
訪問日の展示数は、75点+正倉院宝物11点。
これら全部を見ようという考えは全くなく、主に絵画作品、目当ての作品・その場で興味を持った作品に限定して鑑賞する方針。
上記方針に基づき、鑑賞したと言えるのは、次の10点+あと数点くらい。
絞りに絞った分、じっくりと楽しむことができたと思う。
S02≪鳥毛立女屏風 第一扇 第三扇≫正倉院宝物
「天平美人」。
ふくよかな唐風の女性。
彩色のない衣や樹木などの部分には、かつてヤマドリの羽毛が貼られていたとのこと。
本作は15年振りの公開で、全6扇中、2扇が本展で、4扇が奈良博の正倉院展で展示される。
No.29≪地獄草子≫東博
髪火流地獄、火末虫地獄、雲火霧地獄、雨炎火石地獄の4図。
「赤」が極めて印象的な作品。特に雲火霧地獄の炎の描写。
≪地獄草紙≫は、本作品(東博本)、奈良博本、旧益田家本甲巻の3点があるそう。
うち、旧益田家本甲巻の7図から成っていた絵巻は、戦後分割されてそれぞれ別所蔵となっているが、現在根津美術館で開催中の「名画を切り、名器を継ぐ」展にて2図が出品される(私は前期の火象地獄を見た)。
奈良博本は、後期に展示。
さらに、もう1点、地獄草紙ではないが、旧益田家本乙巻≪辟邪絵≫も後期展示。これまた楽しみ。
No.31≪餓鬼草紙≫東博
先日観たばかりの京博本は、グロテスク性は薄く、「救済」をテーマにした硬派の作品であった。
本展出品の東博本は、餓鬼草紙に対するイメージどおりのグロテスクさ。
・新生児(の便)を狙う餓鬼
・往来で用を足す老若男女の糞尿を狙う餓鬼
・墓地で死屍を食べる餓鬼
・糞尿のたまった池でこれを食べる餓鬼
・鷲などに襲われる餓鬼
・火を食べる餓鬼
・責苦を受ける餓鬼
・食物を嘔吐させられる餓鬼
など、実に興味深い。
No.37≪孔雀明王像≫東博
真正面向き。
真正面向きの孔雀の表情、そして羽根の色彩の豊かさに惹かれる。
No.35≪仏涅槃図≫和歌山金剛峯寺
大きい。
そして、仏涅槃図では現存最古かつ最高傑作であるらしい。
No.70≪寝覚物語絵巻≫大和文華館
制作当時は、さぞ華やかな絵巻だっただろう。
主な登場人物が、隅っこの方にそれとは気付きにくい形で描かれるのは、当時の美的好みによるものか?
No.69≪信貴山縁起絵巻 尼公巻≫奈良 朝護孫子寺
素晴らしい。
本絵巻は山崎長者の巻、延喜加持の巻、尼公の巻の3巻あり、山崎長者の巻は観たことがあるが、本巻は初見。
東大寺の大仏が登場する場面からしばらく、大仏前で祈り、まどろみ、祈り、そして旅を続ける尼公が、小さくぽつぽつと描かれる。異時同図法ですね。
No.67≪源氏物語絵巻 柏木(二)≫徳川美術館
2010年五島美術館の「国宝源氏物語絵巻」展、全19点が素晴らしく、会期中(4週間弱)、毎週のように(実際は4回)通ったことを思い出す。
No.94≪一遍上人伝絵巻 巻第七≫東博
各地の情景、小さく描かれる人々、特に、街路等にたむろする乞食や病者らしい人々が描写(2つの場面に登場)が印象深い。
No.99≪慶長遣欧使節関係資料 支倉常長像≫仙台市博物館
日本キリスト教関係美術は好み。
なお、絵巻は、全てフルオープン。
20時、たいへん満足して館を出る。
ふと気付く。土偶≪縄文のビーナス≫≪合掌土偶≫を見るのを忘れた。