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フィリッポ・リッピ来日作品を予想する ー メトロポリタン美術館のフィリッポ・リッピ

2021年04月04日 | メトロポリタン美術館展2021-22
   芸術新潮2021年4月号によると、2021年11月から開催予定の「メトロポリタン美術館展」に、フィリッポ・リッピ作品が来日するらしい。出品作についての記載はない。
 
   そこで、メトロポリタン美術館のサイトを参照して、フィリッポ・リッピ来日作品を予想する。
 
 
   サイトによると、フィリッポ・リッピとされる作品の所蔵は4点。工房作とされる作品が3点。
   当然、工房作とされる作品は対象外と考える。
   そのうえで、過去の展覧会出品歴に基づき、予想する。
 
 
1)聖母子像
Madonna and Child Enthroned with Two Angels  
1440年頃、122.6 x 62.9 cm
→近年では、2018年ミュンヘン、2004年トリノ・ミラノと貸し出し実績あり。
 
 
2)横顔の女性像
Portrait of a Woman with a Man at a Casement  
1440年頃、64.1 x 41.9 cm
→この作品の貸し出しは制限されているとのこと(近年では、2011年ドイツ、2009年キンベル美、2006年ロンドン、2004年ミラノ、2001年ワシントンと頻度高く出張していたのだが)。
 
 
3)聖ラウレンティウス像
Saint Lawrence Enthroned with Saints and Donors 
1440年代、中央パネル121.3 x 115.6 cm、右パネル72.4 x 39.1 cm、左パネル72.4 x 39.4 cm
→METを出たのは1961年米国内1度のみ。
   アレッサンドロ・デッリ・アレッサンドリ氏は、その当時騎士であり彼の友人であったが、フィエゾーレの丘のヴィンチリアータの自分の別荘の教会のために、一枚の板絵に聖ラウレンティウスおよびその他の聖人を描かせ、そこに自分と二人の息子の肖像を描かせた。(ヴァザーリ『芸術家列伝』)
 
4)4聖人像
Saints Augustine and Francis, a Bishop Saint, and Saint Benedict 
制作年不明、142.2 x 100.3 cm
→1917年のMET所蔵後、METを出たことなし。
 
 
5)受胎告知(工房作)
The Annunciation  
制作年不詳、40.3 x 69.9 cm
→METを最後に出たのは1964年。
 
 
6)男性聖人蔵(工房作)
Male Saint  
1447〜69年、48.3 x 12.7 cm
→展覧会出品歴なし。
 
 
7)クレルヴォーの聖ベルナルドゥス(工房作)
Saint Bernard of Clairvaux 
1447〜69年、48.3 x 12.7 cm
→展覧会出品歴なし。
 
 
 
   こうして見ると、1)の聖母子像か、2)の女性像となる。
   どちらでも大歓迎。2)は貸し出し制限があるというが、保存状態の問題だろうか?
 
 
 
 
*ちなみに、芸術新潮に紹介されている次の15世紀の2作品の展覧会出品歴を確認すると。
 
フラ・アンジェリコ《磔刑》
→1943年のMET所蔵後、2019年に初めて貸し出し(プラド美のフラ・アンジェリコ展)
 
ペトルス・クリストゥス《哀悼》
→1890年米国MET所蔵後、貸し出し実績なし。
 
   貸し出し実績がなくても、本展への出品可能性があることを示している。
 
 
 
どちらの女性か?
 
 
 
   フィリッポ・リッピと言えば、修道僧でありながら女性好きで、修道女と駆け落ちし夫婦となったエピソードが有名であるが、ヴァザーリによると、若い頃に海賊に捕らわれて奴隷とされたことがあるらしい。友人たちとの船遊び時に全員捕獲され、北アフリカで鎖につながれた奴隷として18ヶ月を過ごすが、壁に描いた海賊の親分の肖像画が気に入られ、鎖を解かれ自由の身になったという。ヴァザーリは絵画の徳を讃える。勿論、疑わしい話だとされている。  


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