フェルメール展
2018年10月5日〜2019年2月3日
上野の森美術館
「日時指定入場制」の本展。
入場時間枠は次のとおりで、その時間枠の中で入場可。入場後は、閉館まで時間制限なく鑑賞可(入替制ではない)。
1) 9 : 30〜10 : 30
2)11 : 00〜12 : 30
3)13 : 00〜14 : 30
4)15 : 00〜16 : 30
5)17 : 00〜18 : 30
6)19 : 00〜20 : 00
入場時間枠の最初/前半に入場しようとすると、相応に入場待ち行列に並ぶ必要があるようだ。
【私の訪問日】
・上記3)の13:00〜14:30の時間枠を事前購入。
・前日までに上記1)〜4)の時間枠が完売。5)〜6)の時間枠は当日券販売中。
・13:20頃に様子を見に行くと、13:00〜14:30の時間枠の待ち行列ができていて、案内表示によると「入場まで20分」とのこと。
・14:15頃に再度出向くと、待ち行列なし、即入場。
当初15:00前後からの鑑賞を考えていたが、相応の入場待ちが想定されたことから、その一つ前の時間枠を選択し、14:30ギリギリに入場する計画としていたもの。この計画は成功したといえそうだ。
・退館は16:45頃。5)の17:00〜18:30の時間枠が完売となり、その枠の入場待ち行列ができている。係員の案内によると「今から並ぶと30分くらいの待ち時間」。17:15頃入場見込みということだろう。
長く並んで時間枠の最初に入場したとしても、入替制ではないので、館内はその前までの時間枠の入場者で溢れている。
ならば、入場待ち時間最小化の観点から、時間枠の後半に入場することを前提に、時間枠を選んでチケットを事前購入するのが良いと思われる。
ただし、朝一番の時間枠で人がまだ少ない状況でフェルメール作品を鑑賞したい場合、および、自都合または売れ行きによりその日の最終の時間枠を取った場合は別である。
正面玄関からの入場ではない(正面玄関は今回は出口)、たぶん以前なら出口だったと思われる横手から入場すると、チケットもぎりとともに、全ての出品作の簡単な説明が記された小冊子が配布される。
会場内は、各章ごとの説明パネルはあるものの、個別作品の説明キャプションはないので、この小冊子を参照しながらの鑑賞となる。
音声ガイド器とイアホンは別々の係員から受け取る。
音声ガイド料は入場料に含まれており、追加負担は発生しない。普段は音声ガイドを全く利用しない私、有料音声ガイドの利用経験は2015年の国立西洋美「グエルチーノ展」が唯一(単なる節約のため)。なので他展との比較はできないけど、石原さとみさんの起用はよいと思うが、内容的にはさびしいかな、こんなものなのかな。一度聞いても理解できないくらい専門的内容を早口で説明してくれたら面白かった気がする。ちなみに解説対象はフェルメール作品ですら半分程度、他画家作品はほんの一部である。
フェルメール作品8点と同時代のオランダ絵画39点が展示される会場。
まず階段で2階にあがる。
2階は同時代のオランダ絵画39点が並ぶ。肖像画、神話画・宗教画、風景画、静物画、風景画の順。
フェルメール以外の目玉作品とされているハブリエル・メツー(1629-67)のダブリンから来た《手紙を読む女》と《手紙を書く男》の対作品は最後のほうに展示されている。
2008年のフェルメール展で第二の柱であったカレル・ファブリティウス(1622-54)の作品は今回は出品されていない。その作品の貴重性からやむなしだが少し残念である。
その2階は大変な人。タイミングにもよるだろうけど、私の滞在時は、どの作品も二重三重の人で、列もなかなか先に動かない。あの狭い展示室、飛ばして先に進もうとしても、そのスペースを探すのも難儀。
「怖い絵展」のように作品にとって危険な状態とまではいかないにしても、人にとって極めて窮屈である。
階段で1階に降りる。
フェルメールに関する映像コーナーがあって、真っ白な回廊があって、その回廊を抜けると、暗がりの部屋「フェルメール・ルーム」がある。
寡作といわれ、35点しか現存しないといわれるフェルメール作品のうち、9点が日本に…!光が差し込む回廊を抜けると、見渡す限りフェルメール!の「フェルメールルーム」のお出ましです。《牛乳を注ぐ女》前はご覧の人だかり。日時指定制なのも頷けます。タラ夫はひっそりと後ろから応援。 pic.twitter.com/eHro1ycEcb
— タラ夫 (@2017babel) October 4, 2018
「フェルメール・ルーム」。三方からフェルメール作品に囲まれる。
入口から見て右手の壁には、最初期の宗教画《マルタとマリアの家のキリスト》。
正面の壁には、右から《ワイングラス》、《リュートを調弦する女》、《真珠の首飾りの女》、《手紙を書く女》、《手紙を書く婦人と召使い》、《赤い帽子の娘》と6点が並ぶ。
左手の壁には、代表作《牛乳を注ぐ女》。
「フェルメール・ルーム」の各作品も、やはり二重・三重、作品によってはそれ以上の人だかりであり、最前列で見ようとするとなかなか進まない列に並ぶ必要がある。
特に人が集まっている作品は《牛乳を注ぐ女》、そして6点並ぶ壁の最初の作品《ワイングラス》。
割とすぐに真正面に辿り着く作品は、右の壁の《マルタとマリアの家のキリスト》と、6点並ぶ壁の最後の作品《赤い帽子の娘》。
ただ、2階とは違って、ルームは広いので、人だかり内はともかく、ルーム全体としては逃げるスペースもあり、窮屈感が抑えられているのは助かるところ。
各作品は高めの位置に掲げられているようで、後方からでも割と見える。
また、係員による進め・立ち止まるな攻撃がない。真正面での立ち止まり鑑賞も可能。窮屈なので、皆さんそんなに粘ることはないようだけれど。
人だかりも意外と大きくないので、第2列であれば、タイミングにもよろうが、割と早く順が回ってくる感。
各時間枠の間の30分間の入場させない時間帯を設けた効果で人の満ち引きがあるのかなと思っていたが、ほぼ人だかり内にいたので確認には至らず。
フェルメール作品との距離について、さすがに至近とはいかないが、近めの位置から鑑賞できる。
《牛乳を注ぐ女》については、他の作品よりも距離をとっているが、2007年の初来日時と比べると断然近い位置にある印象。
(2007年の時は、列に並んでやっと正面に辿り着いても、進め・立ち止まるな攻撃を受け、作品までの距離も遠く、全く作品を味わえず、不完全燃焼/欲求不満に終わっている。見たうちにはカウントしたくない。今回は鑑賞できる環境、11年越しでやっと鑑賞済マークがつけられる。)
「日時指定入場制」は機能しているようだ。
「待ち時間の少ない展覧会を目指します」
→入場時間枠の後半に出向くことで、待ち時間なし(あるいは少なめ)での入場が期待できる。
「時間も空間もゆったりと名画と向き合うことができる、かつてなく贅沢な展覧会をおとどけします」
→2階の混雑は酷い。施設構造上の問題だろう。
1階の「フェルメール・ルーム」も確かに混雑しているが、この程度であれば許容範囲。1階の混雑を一定程度に抑えること、それを主眼として販売枚数を決めているのだろうか。
会期が進むに連れて、入場時間枠の完売時期が早くなっていくだろう。ひょっとすると販売枚数も増やす(より混雑する)かもしれない。会期の終盤、《取り持ち女》が登場する時期はどれほどの盛り上がりになっているのか心配である。