ゲルハルト・リヒター展
2022年6月7日〜10月2日
東京国立近代美術館
ドイツ・ドレスデンの出身、1932年2月生まれで本年90歳となった、現代アートの巨匠ゲルハルト・リヒターの個展。
(Bunkamuraで個展が開催中の南米コロンビア生まれのボテロも、1932年4月生まれで本年90歳である。)
ゲルハルト・リヒター財団および作家本人が所蔵する作品を中心に構成される。
記事その2として、「グレイ・ペインティング」ほかグレイ色の作品を取り上げる。
グレイ・ペインティング
1960年代後半、キャンバスを灰色の赤で塗り込めるグレイ・ペインティングと呼ばれるシリーズが登場する。
リヒターは、グレイについて、「なんの感情も、連想も生み出さない」、「『無』を明示するに最適な」色彩であると語っている。
しかし、グレイといっても作品によって色の調子や筆致が異なり、豊かなヴァリエーションがある。
《グレイの縞模様》
1968年、200×200cm
《グレイ(樹皮)》
1973年
《グレイ》
1973年
《アブストラクト・ペインティング》
2000年
《グレイ》
1976年
《鏡、グレイ》
1991年
「フォト・ペインティング」より。
《8人の女性見習看護師(写真ヴァージョン)》
1966/1971年
8枚の写真
アメリカのシカゴで起こった殺人事件の報道写真をもとに、1966年に描いた同名の絵画作品を写真パネルとして再制作した作品です。
リヒターは1960年代にこのような無名の被害者をたびたび描きました。特にこうした女性をモティーフにした作品では、報道記事のセンセーショナルなテキストやそのほかの視覚的な情報は削ぎ落とし、どこか幸せそうな、日常的な表情のみを切り出すように描いています。
リヒターはそのようにして、まるでカメラが対象を判断しないのと同じように、あらゆるイメージを等価に描き出していったのです。
どんな事件なのか、米国を揺るがせた著名な事件であるらしく、ネットには情報が溢れている。
リヒター作品を読み解くためのキーワード13
1 フォト・ペインティング
2 グレイ・ペインティング
3 ガラスと鏡
4 アブストラクト・ペインティング
5 頭蓋骨、花、風景
6 肖像画
7 オイル・オン・フォト
8 カラーチャートと公共空間
9 《アラジン》
10 《ストリップ》
11 《ビルケナウ》
12 ドローイング
13 フォト・エディション
記事その1により11の作品を、記事その2により1と2の作品を取り上げた。
他にも8キーワード、全119点が展示される(一部を除き写真撮影可)。
現代美術に特に強い関心を持たない私、リヒターの名前は聞いたことがあるが、作品は国立西洋美術館や東京国立近代美術館の常設展示で見た風景画1点しか知らなかった(+直前に国立西洋美術館の企画展にて見た空の絵1点)。
今回訪問にあたっても事前調べせず。まとめて作品を見て、こんな感じの画家だったのかと初めて知った次第。正直、他の画家と混同していた部分あり。
会期は3ヶ月以上あるので、余裕があれば再戦するつもり。
本展は、豊田市美術館に巡回する。