東京でカラヴァッジョ 日記

美術館訪問や書籍など

【画像】2022年6月の戦争記録画展示等 - MOMATコレクション(東京国立近代美術館)

2022年06月16日 | 東京国立近代美術館常設展
 今期(2022/5/17〜10/2)の「MOMATコレクション」より8点。
 撮影した画像を掲載。
 
 
会田誠
《美しい旗(戦争画RETURNS)》
1995年、各169×169cm
 新収蔵作品。令和元年度に東近美が購入。
 直近本作を観たのは2019年春(平成31年)の東京都現代美術館での企画展であったが、その後に売買されたのだろう。
 ビール瓶ケースの上に置かれていたが、そこは改められたようだ。
 
 
 
森村泰昌
《Brothers (A Late Autumn Prayer)》
1991年、240×234cm
 こちらも令和元年度に東近美が購入(ただし、2021年に展示されているからか、新収蔵作品の表示はない)。
 ミレー《晩鐘》をもとに、湾岸戦争に対する危機意識を表したものとのこと。
 
 
 
 2022年6月の戦争記録画展示は5点。
 近年修復を終えた作品とのこと。
(☆印は、東京国立近代美術館活動報告(年度報告)から修復内容を記載。令和3年度版は現時点で未公表。)
 
 
藤田嗣治
《哈爾哈河畔之戦闘》
1941年、140.0×448.0cm
☆変形修正、旧ワニス、旧補彩の洗浄、裏面のクリーニング、張り代の補強、新調木枠に張り込み、絵具欠損部の充填整形、補彩、ワニス再塗布(令和元年度)
☆新規額製作(令和2年度)
 
 
小磯良平
《カンパル攻略(倉田中尉の奮戦)》
1944年、129.0×193.0cm
 
 
宮本三郎
《本間、ウエンライト会見図》
1944年、190.0×250.0cm
☆浮き・亀裂・剥落の接着、充填整形、張りなおし、新規額製作(平成30年度)
 
 
 
藤田嗣治
《大柿部隊の奮戦》
1944年、130.5×162.0cm
☆浮き上がり接着、洗浄、変形修正、破損部接着、耳補強、ルースライニング、充填整形、補彩、木枠交換(平成30年度)
☆新規額装(令和元年度)
 
 
 
藤田嗣治
《薫空挺隊敵陣に強行着陸奮戦す》
1945年、194.0×259.5cm
☆画面、裏面のクリーニング、キャンバスの変形修正および破れ補修、張り代を補強し、新調木枠に張り込む、充填整形、補彩、ワニス塗布(令和2年度)
 
 
 
 最後に、やや躊躇しながらも、上記の戦争記録画と同じ展示室に展示されている同時代の作品であることから、この記事に掲載する。
 
辻晋堂
《詩人(大伴家持試作)》
1942年、196.0×47.0×41.8 cm
 令和3年度の新収蔵作品(寄贈)。
 
 日本最古の歌集『万葉集』の編纂者である大伴家持。彫刻としては稀な主題で、日本古代の偉人が裸体であることや、(たまたま腹部に張り付いたような薄布、縦線で表した)ホウキのような陰毛表現も奇抜です。ただし、全体にゆるやかなS字を描く古典的なポーズは安定し、鑿跡や継ぎ目を残した粗い仕上げは風格を与えています。ナショナリズムが高まった戦中という時代が、あえて古代の人物を選ばせたのでしょう。(万葉集に因む歌人を選んだ背景には時局下の国粋的風潮も関係したに違いありません。前年の1941年、辻は満州開拓移民の像を制作しています。)全体の印象としては、体躯がゆるやかなS字を描く、いわゆるコントラポストの古典的なポーズが安定しています。のちに陶土を用いた抽象彫刻で名を馳せる辻が最初に評価された記念碑的作品です。
(会場内解説、カッコ内は東近美HPをもとに追記)


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。