ロンドン・ナショナル・ギャラリー展
2020年3月3日〜6月14日
→開幕日未定
国立西洋美術館
ぱっと見、ベラスケス、《ラス・メニーナス》風。
現に、本作が1895年にナショナルギャラリーに寄贈されたとき、ベラスケスの作品で、ベラスケスの娘(または孫)の婚約の場面を描いたとされていたらしい。
その後、ベラスケスへの帰属は否定され、ルカ・ジョルダーノに帰属された。
ルカ・ジョルダーノ
《ベラスケス礼賛》
1692-1700年頃、205.2×182.2cm
ロンドン・ナショナル・ギャラリー
イタリア・ナポリ生まれのルカ・ジョルダーノ(1634-1705)は、17世紀ナポリ派を代表する画家。
スペイン国王カルロス2世に招聘され、1692年から宮廷画家としてスペインに滞在し、エル・エスコリアル修道院宮殿ほか大規模なフレスコ画装飾を手がける。カルロス2世死去後の1702年にナポリに戻る。本作は、約10年間のスペイン滞在中に制作されたもの。
一輪の花を見せたくて、豪華なドレスを着た少女が父親に近づいている。侍女はお父様の邪魔をしてはいけませんよと、少女をなだめている。ペンを持った父親は振り返って少女の肩に手を置く。
粗描きの画風、その色調、右下隅に描かれた画家の自画像など、ベラスケス《ラス・メニーナス》をベースにしたことが明らか。
そこから「ベラスケス礼賛」という作品名が付けられる。
スペインの公爵家からの注文作で、注文主とその娘、使用人たちが描かれたと考えられている。
ルカ・ジョルダーノは、スフェリペ4世コレクションのベラスケス作品に接し、高く評価した。
《ラス・メニーナス》について画家がカルロス2世に述べたと伝えられる言葉、『陛下、これは絵画の神学です』は、《ラス・メニーナス》を語るときには欠かせないフレーズである。
なお、スペインの「ヴァザーリ」、画家アントニオ・パロミーノ(1655-1726)が著した『絵画館と視覚規範』第3巻「スペイン桂冠画家・彫刻家列伝」において最も頁が多いのは、ベラスケスとルカ・ジョルダーノの二人であるらしい。