日本国宝展
2014年10月15日~12月7日
東京国立博物館
後期に入った「日本国宝展」、金曜の夜間開館に行ってきました。
お目当ては、地獄草紙(奈良博本)、国宝土偶5点、そして金印。
前回(前期)の夜間開館訪問と同様、到着は18:40頃、鑑賞可能時間は80分。
前回と同様に、平成館のコインロッカーに空きがないくらいの混雑。
ただ、前回ほどの混雑ではないかな。単に混雑慣れしたのかもしれないけど。
今回も、全部を見ようという考えは全くなく、目当ての作品・その場で興味を持った作品に限定して鑑賞する方針。
まずは、お目当てに直行する。
No.28≪地獄草子≫奈良博
全7段(奈良博HPより)
・糞屎泥地獄
・凾量地獄
・鉄鎧地獄
・鶏地獄
・黒雲沙地獄
・膿血地獄
・孤狼地獄
糞屎泥地獄に描かれる「針口(しんく)」という虫。
鉄鎧地獄は、罪人が鉄の臼に入れられて、すり潰されて下からミンチ状態で出てくる。
鶏地獄に描かれる火を吐く鶏のインパクトは大。色彩も印象的。鶏に踏まれ、蹴られ、火を吐かれ焼かれている(はずの)罪人の描写は消えてしまって判別できない。
No.45≪土偶 縄文のビーナス≫長野 茅野市
No.46≪土偶 縄文の女神≫山形県
No.47≪土偶 仮面の女神≫長野 茅野市
No.48≪土偶 中空土偶≫函館市
No.49≪土偶 合掌土偶≫青森八戸市
No.46~48が11/21から登場し、国宝土偶5点が勢ぞろい!
≪土偶 仮面の女神≫は平成26年の国宝新指定。東博でのお披露目企画「平成26年 新指定 国宝・重要文化財」でも観ている。2009年の「国宝土偶展」では、当時はまだ重文だったが、展覧会のトップバッターを担った作品。
≪土偶 縄文の女神≫は、「国宝土偶展」でのマイ・ベスト作品。なんといってもスタイル抜群。これも当時は重文だった。
他の3点は、「国宝土偶展」時点で既に国宝。
国宝や重要文化財に指定されるようなレベルの土偶というのは、何と美しいのだろう。その造形美を堪能する。
No.64≪金印≫福岡市博物館
教科書でお馴染み≪金印≫。
第2会場の最初の部屋、前回は絵巻が展示されていたが、今回は絵巻(絵付き作品)は一切消え、文字ばかりの作品が展示されている部屋。その中心に、金印が鎮座するガラスケースが置かれる。
「小さい」。月並みだが、小さい。
最前列で観るためには列に並ぶ必要がある。閉館時刻までに列に並べば観ることができるので、先に他の作品を回り、閉館時刻数分前に列に並ぶ。
どこを観るべきか。
文字の彫り込み部分かな?鏡に映して見る方式となっている。
と思っていると、館の学芸員の方が列に並ぶ人に対して鑑賞ポイントを簡単に説明してくれる。
鈕(つまみ)が何に見えますか。蛇がとぐろを巻いていると言われることが多いですが、あなたには何に見えますか。
順番がやってくる。気合いを入れて観る。
福岡市博物館HPで紹介される「心得の一、金印を見るときは展示ケースに顔を近づけ、食いいるように見るべし」とは程遠い環境。
鈕(つまみ)も遠く、私には何に見えたのかというと、何にも見えなかったというところ。
閉館時刻を過ぎると第二会場入口の扉は閉められる。また第二会場の他の部屋に移動できないよう封鎖される。金印を見終わった人が入口扉に向かうと、その度に係員が扉を小さく開けてくれる。特設ミュージアム・ショップには、まだまだたくさん人がいる。
お目当て3点のほかに、楽しんだのは。
No.9≪絵因果経 巻第四下≫東京藝術大学
醍醐寺版を松濤美術館で観たばかり。
本展で公開されている場面は、15.36mフルオープンされる(私は後半のみ鑑賞)松濤美術館と比べると、ずいぶん限定されている。
両作品は、素人の私には同じように見える。
No.30≪辟邪絵≫奈良博
天刑星、栴檀乾闥婆(せんだんけんだつば)、毘沙門天の3幅が展示。全5幅あるらしい。
今回展示対象外2幅は、神虫と鍾馗。神虫も見たかった。
No.39≪虚空蔵菩薩像≫東博
No.40≪普賢延命菩薩像≫広島 持光寺
前者が特に人気が高く、常に人だかりしている。東博所蔵だが、めったに展示されないのだろうか。
この時代の仏画には、今まで関心がなかったが、前期も含めて数点の名品を観て、少し興味が出てくる。
No.83≪六道絵≫滋賀 聖衆来迎寺
後期は人道苦相(II)と閻魔王庁の2幅。
縦が長くて上の方がよく見えないが、戦役とそれによる民衆の苦悩の姿を小さく描いている(と思われる)前者は、特に見応えがある。
前期は畜生道、阿修羅道の2幅が展示されていたのだがスルーしたのは惜しかったと思う。
全15幅あるらしい。
前期と比べると、鑑賞点数が減る。
今後も展示替えが数点あるし(仏画と雪舟)、今回は第二会場については半分しか見ていないし、余裕があればもう一度訪問できるといいな。