石橋財団コレクション選
特集コーナー展示
印象派の女性画家たち
2020年6月23日〜10月25日
アーティゾン美術館
アーティゾン美術館が長期休館中に新規取得した「印象派の4大女性画家」の作品5点を見る。
メアリー・カサット(1844-1926)
米ペンシルヴァニア州ピッツバーグ近郊の裕福な家庭に生まれる。6〜11歳まで、次兄の病気療養のため、家族とともに仏・独に長期滞在し、ヨーロッパの文化・芸術に触れる。1866年、パリに渡り、美術館での自主勉強(巨匠作品の模写)を中心に、有名画家の私塾でも学ぶ。1868年、サロン初入選。ドガの作品を見て衝撃を受けた2年後の1877年、ドガと知り合い、1879年の第4回印象派展に参加。以後、第7回を除き、毎回出品。女性でこれほどの素描ができるとは許せないと、ドガはカサットに嫉妬したとされる。生涯独身。2016年に横浜美術館で回顧展が開催されている。
《娘に読み聞かせるオーガスタ》
1910年、116.2×88.9cm
《日光浴(浴後)》
1901年、74×93cm
画家の得意とした母子像2点。
ベルト・モリゾ(1841-95)
ブールジュ市生まれ。父親はシェール県の官吏、母親はロココの巨匠フラゴナールの遠縁。幼少期に姉とともに絵画を学ぶ。パリに出てコローに学ぶ。1864年サロン初入選。マネと出会い、そのモデルを務めるほか、多大な影響を受ける。1874年にマネの弟ウージェーヌと結婚、1878年に娘ジュリーが誕生。第4回を除き7回の印象派展に参加する。
《バルコニーの女と子ども》
1872年、61×50cm
バルコニーから眼下に広がるパリの景観を眺める母娘。
この作品の素描がシカゴ美術館に所蔵されているとのこと。
エヴァ・ゴンザレス(1849-83)
パリ生まれ。父親はフランスに帰化したスペイン人作家、母親はベルギー出身の音楽家。1869年、マネと知り合い、そのモデルとなり、ついでその弟子となる。師マネと同様にサロンへの出品を優先したため、印象派展には参加していない。1879年に画家アンリ・ゲラールと結婚、サロン出品を続けていたが、出産時に34歳で死去。
《眠り》
1877-78年頃、81×100cm
寝室のベッドで目を瞑って横たわる若い女性。モデルは画家の妹。
若い女性の朝の目覚めを描いた代表作《朝の目覚め》(ブレーメン美術館)の対画と考えられているとのこと。
マリー・ブラックモン(1840-1916)
ブルターニュ地方のランタンヴェ生まれ。海軍士官の父親は彼女が生まれて間もなく亡くなり、母親はその後再婚し、パリ近郊のエタンプに落ち着く。若い女性向けの絵画教室をひらいていた地元の画家に素描を学ぶ。17歳でサロン出品。1869年、版画家フェリックス・ブラックモンと結婚。第4、5、8回の印象派展に参加、才能を開花させていくが、それを快く思わない夫が活躍を厳しく制限。精神的消耗の末、1890年、制作を辞める。
《セーヴルのテラスにて》
1880年、56.8×64.5cm
当時住んでいたセーヴルでの戸外制作時のお気に入りのテラスでの作品。ファンタン・ラトゥール夫妻と画家本人とする説、いずれの女性も画家の妹がモデル説があるようだ。
あわせて、これも新しく収集された西洋の芸術家の肖像のヴィンテージ写真コレクションから、女性画家4人に関連する写真が展示。
↑本展示にかかる小パンフレットも用意されている。
↑マネ
↑フェリックス・ブラックモン
よくまあこれだけの作品を取得できたものだと感心するばかり。凄いなあ、アーティゾン美術館。