生誕300年記念
池大雅 陽光の山水
2024年2月10日〜3月24日
出光美術館
18世紀の京都の画家、池大雅(1723-76)。
蕭白への関心から始まった私の江戸絵画鑑賞は、若冲、応挙、芦雪、蕪村と広がるが、同時代に活躍した大雅については関心外にあった。
例えば、直近では、九州国立博物館「長沢芦雪」展の前期にて、一番最後の特別出陳「同時代の天才画家たち」に蕭白・若冲・応挙・蕪村・大雅の作品計8点が展示されていたが、4名の作品6点は鑑賞し、大雅の2点はスキップ。
✳︎その2点は、重文《陸奥奇勝図巻》九州国立博物館と、重文《蘭亭曲水・龍山勝会図屏風》静岡県立美術館。(この2点の重文は、画家の生誕300年記念の回顧展ではなく、芦雪展を選んだのだ。)
どれもよく似た色彩・よく似た雰囲気の、馴染みにくい中国の風景を描いた山水画、という印象で関心が持てない、本展はそんな状況から脱却するきっかけになるかも。
2018年の京都国立博物館での大規模回顧展(見ていない)とは異なり、初心者には手頃な分量でありながら「国宝2件、重要文化財8件を含む選び抜かれた名品が一堂に会する」と謳う本展は、ちょうど良いかも。
と、前期・後期ともに訪問する。
【本展の構成】
第1章 光との戯れ - 色と墨の競演
第2章 大雅のユートピア - 憧れの中国へ
第3章 行道千里 - 日本の風光に学ぶ
第4章 四季と八景の庭園 - 大雅芸術の頂点
✳︎ 副題の「陽光の山水」のとおり、山水画を中心に紹介。
【出品数】
全43点(前期34点、後期35点)
✳︎2度の訪問により43点すべてを鑑賞した形。
鑑賞時間中は自分なりに相応に楽しみ、「陽光の山水」の副題にも納得するが、魅力に開眼!とか、楽しみ方を発見!とかには至らず、という感じ。
鑑賞した国宝、重文作品の名を記載する。
国宝
《楼閣山水図屏風》東京国立博物館
《十便十宜図》(与謝蕪村との競作)公益財団法人川端康成記念会
重要文化財
《漁楽図》京都国立博物館
《柳下童子図屏風》京都府蔵(京都文化博物館管理)池大雅美術館コレクション
《前後赤壁図屏風》国(文化庁保管)
《洞庭赤壁図巻》京都国立博物館
《西湖春景・鉄塘観潮図屏風》東京国立博物館
《瀟湘勝概図屏風》個人蔵
《東山清音帖》個人蔵
《十二ヵ月離合山水図屏風》出光美術館
印象に残る作品としては、重文《西湖春景・鉄塘観潮図屏風》東京国立博物館の左隻。
右半分には海。左半分には岩・木・家と小さく描かれる人々。満潮で海水が河に大逆流する様子を見物しているとのこと。モネを想起する。
もう1点あげると、《山邨千馬図》出光美術館。
酔っ払った友人に千頭の馬を描いてくれとせばまれ、仕方なく描いたとのこと。画面いっぱいに小さく描かれた無数の馬。村の馬市の様子とのことで、馬のなかに人の姿も混ざっていて、おもしろい。出光美術館の大雅コレクションは私立美術館としては国内有数であるらしい。
今後は、大雅をスルーせず、少しは鑑賞するようにしていくつもり。