藝大コレクション展2019
第1期:2019年4月6日〜5月6日
第2期:2019年5月14日〜6月16日
東京藝術大学大学美術館
藝大春のコレクション展、第1期に引き続き、第2期に行く。
第2期から登場の特集。
一つは「東京美術学校日本画科の風景画」。大正から昭和初期の「新興大和絵会」の影響を受けた作品たち。
まずは、同科の教授で新興大和絵会を創立した松岡映丘の作品《伊香保の沼》。初見が2015年開催の「うらめしや〜、冥土のみやげ」展であったので、そんな色眼鏡で見る。
そして卒業生たちによる「大和絵の絵巻の背景描写に基づいた新たな風景画を描く」と「大和絵のように現代の風景を描く」作品。印象的なのは、三浦文治の卒業制作《動物園行楽》。上野動物園を俯瞰的に曼荼羅図のように描く。画面下部に園入口。点在する舎とそれに集う人々、向かう人々。画面中央の水禽舎やその右下の象舎は特に人気である。
もう一つは「起立工商会社工芸図案」。
起立工商会社は、1874年にその前年のウィーン万博での評判などを受けて、日本の工芸品の制作と西洋への販売を目的に、政府の多大な援助のもと開業するが、1891年解散、17年間の営業で終わる(私的には、ゴッホが同社の名が書かれた木箱の蓋の裏に「ヒアシンスの球根」を描いた作品の存在により覚えた会社名)。図案自体は軽く流す。
通期の特集「イギリスに学んだ画家たち」では、第2期から登場した作品、原撫松(1866〜1912)によるレンブラント作品模写《使徒パウロ》や、「ロイヤル・アカデミーに外国人として初めて入学し、肖像画家としてイギリスで活躍した」石橋和訓(1876〜1928)によるモデル不明の日本人肖像画《男の肖像》などを見る。
最後に、「名品:日本画」コーナーでは第2期展示の鏑木清方の《一葉》を、「名品:西洋画」コーナーでは、通期展示の藝大美定番、高橋由一の重文《鮭》を主に楽しむ。
本展は地下2階の展示室1のみのコンパクト展示。その分観覧料も一般430円と抑えめ。
カラー版8頁の解説パンフレットも追加料金なしで無料配布される。