東京でカラヴァッジョ 日記

美術館訪問や書籍など

戦争/美術1940-1950(神奈川県立近代美術館葉山)

2013年08月05日 | 展覧会(日本美術)

葉山館開館10周年
戦争/美術1940-1950 モダニズムの連鎖と変容
2013年7月6日~10月14日
神奈川県立近代美術館葉山


神奈川県立近代美術館葉山を真夏に訪問するのは初めてである。
美術館の後、海側から子供の歓声が聞こえる。
一色海水浴場。
美術館の後ろの展望スペースから見ると、海の家も出ていて、ファミリーや若いグループで賑わっているようだ。


本展は、葉山館開館10周年企画。
会場入口横に、過去の展覧会ポスターが掲示されている。
私が見た展覧会はというと。
次の3展しかない。もう少し訪問していた気でいたのだが。
1)パウラ・モーダーゾーン=ベッカー展
 2006年1月7日~3月26日
2)古賀春江の全貌展
 2010年9月18日~11月23日
3)レーピン展 
 2013年4月6日~5月26日


さて、本展。
序章として1939年、以降、1940年、1941年、1942年、1943年、1944年と1年ずつ進み、1945と1946はまとめて、1947、1948、1949もまとめて、終章が1950年以降。
章ごとに、その年が制作年である作品が中心の展示となるが、制作年の前後のずれは見られる。
神奈川県立近代美術館所蔵作品が主に、他美術館が所蔵する作品も招来している。
また、書籍・雑誌等の資料もある。


知らない画家が多いことは、私に起因すること。
ただ、会場内の説明が不足している感が強い。会場内の図録を開いてみたが、同様の印象。

以下、覚書き。

1:原精一
 従軍画家ではなく、一兵卒として戦地に赴く。
 派遣地で描かれた多くのスケッチが展示。
 兵士を描いたものより、現地の働く女性たちを描いたものが印象に残る。

2:山崎隆
 ≪続戦地の印象4≫は、京都国立近代美より。
 東京国立近代美「日本画の前衛」以来。同展覧会を思い出す。

3:山口蓬春
 ≪香港島最後の総攻撃図≫は東京国立近代美所蔵(無期限貸与)の戦争画。

4:山下菊二
 現題≪日本の敵米国の崩壊≫、改題前≪人道の敵米国の崩壊≫。
 絵自体はつまらぬもの。終章に代表作≪あけぼの村物語≫が登場する。

5:上野誠
 戦中の多くの章に、彼の版画作品が登場する。勤労者・庶民を描いた作品。
 そして最後の方には、原爆反対のポスターが登場する。

6:藤田嗣治
 東京国立近代美所蔵(無期限貸与)の戦争画2点。
 ≪ソロモン海域における米兵の末路≫
 ≪プキテマの夜戦≫
 いずれも初見。後者は状態がかなりよくない。

7:丸木位里・俊
 ≪原爆の図(第一部 幽霊)≫
 ≪原爆の図(第三部 水)≫
 本展の目玉だろう。
 初見。何とも言い難い絵。
 第二部と第四部は後期出品。
 他にも、彼らの作品は展示。俊≪自画像(飢え)≫、位里≪竹≫など。

8:終章
 違和感が残る章。理由は不明だが。

9:その他
・松本竣介≪立てる像≫≪自画像≫など、神奈川県立近代美所蔵作品。
・靉光は、他美術館から招来。


<展覧会HPより>
1940年代の日本は、戦争という美術家たちにとって非常に困難な時代でありながらも、モダニズムの成熟と転換という豊かな可能性を秘めた時代でもありました。本展は、戦前から戦後の時代を1940年代という時間の経過で捉え、これまで分断されてきた戦前、戦後の日本の美術史を新たな文脈でとらえ直そうという展覧会です。当館のコレクションの根幹を形成する松本竣介、朝井閑右衛門、麻生三郎、鳥海青児、山口蓬春などの戦前戦後をつなぐ作品や資料に新たな照明を当てるとともに、丸木位里、俊夫妻の《原爆の図》に結実するまでの画業など、同時代の広がりも、絵画を中心に紹介します。
総動員体制のもと自由が圧殺され戦争に突入し、敗戦をきっかけにしがらみから解放されるという極端な振れ幅の時代のなかで、優れた才能はどのような創造の営みを続けていたのか、あるいは、中断や挫折を余儀なくされたのか。
しなやかに、したたかに、ときに強情に生き抜いた画家たち。彼らの残した作品は1951年に開館した神奈川県立近代美術館の歴史的、文化的背景にほかなりません。葉山館開館10周年を記念して開催する本展は、私たちの美術館活動の出発点の確認作業という性格も備えています。



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