東京でカラヴァッジョ 日記

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芸術写真の時代-塩谷定好展(三鷹市美術ギャラリー)

2016年10月14日 | 展覧会(その他)

芸術写真の時代-塩谷定好展
2016年 8月20日~10月23日
三鷹市美術ギャラリー

 

   「東京の美術館でははじめてとなる」写真家・塩谷定好(しおたにていこう)(1899-1988)の回顧展。
   100点の作品が展示される。

 

 山陰の自然や人を題材に、あえて焦点を合わさず、対象の輪郭をぼやけてさせる。細工・修正。画面構成。絵画的な写真。

 

   私的には写真は守備範囲外で、写真家の名前も知らなかったほどだが、メインビジュアル《台所道具を配せる主婦像》が妙に気になって訪問。

 

   「芸術写真」という写真芸術の分野を初めてそれと意識して観る。思った以上に楽しめる。

 

〈美術館サイトより〉

   現代において写真は芸術の一分野として認められていますが、19世紀に発明されてしばらくはそうではありませんでした。19世紀後半に欧米で芽吹いたピクトリアリズム(絵画主義)には、写真もまた絵画同様に平面芸術の一であるという主張がこめられています。
   写真技法が日本に入ってくるのは早く、すでに19世紀の半ばにはダゲレオタイプと呼ばれる写真機が渡ってきます。そしてピクトリアリズムもまた、「芸術写真」として展開することになります。
   しかしながら、もとよりピクトリアリズムがそのまま「芸術写真」になったわけではありません。そこには日本独自の変遷がありました。そうしたなかで、鳥取という地にあってその代表的な写真家になったのが塩谷定好(1899-1988)です。
   塩谷は1920年代より制作と発表を開始し、野島康三や福原信三らと戦前の「芸術写真」を牽引しました。しかし戦後は、中央の写真雑誌への作品投稿や執筆から距離を置き、故郷の写真界の発展に尽力します。
   再評価の大きな転機は、1982年にドイツのケルンで開催された世界最大の写真関連見本市フォトキナ写真展の最高賞である栄誉賞の受賞でした。国内でも展覧会への出品が続き、1988年には個展が全米各地を巡回します。没後も毎年のように美術館開催の展覧会に出品されて現在に至ります。
   本展は東京の美術館でははじめてとなる写真家塩谷定好の回顧展です。1920年代初期から70年代まで、半世紀にわたる仕事を100点の作品でご紹介します。風景、人物、静物と写す対象はさまざまですが、そこにそそがれる視線には貫徹するものがあるのではないでしょうか。それはひとつの哲学というべきものかもしれません。どうぞ、ごゆっくりご覧ください。



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