ルンピニースタジアムは暗かった

若い頃は格闘技大好き青年だった。
『ゴング』などの格闘技雑誌も定期購入していたほどだ。
タイではキックボクシングのことを‘ムエタイ'ということも知っていた。

ムエタイでは二つの大きなスタジアムがありそれぞれチャンピオンを認定している。
その二つは『ラジャダムナン』と『ルンピニー』。

タイに行くと決まって調べてみるとルンピニーにナイトバザールがあると知った。
ルンピニーのスタジアムはその敷地内だ!!
ならばナイトバザールを口実に妻を騙してでも行くしかあるまい

たった2泊のタイ旅行の初日は夕刻着。
ホテルで旅装を解いている間に降りかけたスコールがまだ止まない。
でも、雨の止むのを待つ暇はないのだ。

ホテルの常備傘を持ってMRTでシーロムからルンピニーへ。
稲光が残り、水溜りが足元を濡らす路側帯の悪路を、妻を説得してスタジアムへ。

大げさに言うならば永年夢見た恋人に出会う瞬間。
その瞬間はあっけなく暗闇とともに現れた。

この日は開催されていなかった。（こういうこともあるのだ）
灯りもなくひっそりと暗闇のまま現れたまだ見ぬ恋人をよく見ると・・・
開催されるのは私たちのタイ滞在中にはない（こんなことってあるのだろうか）
暗闇でも記念にとスタジアムの写真を撮り、本来の目的のナイトバザールへ行く。
無理矢理だけど、ふっ切れた瞬間。

ルンピニーの入場口

スタジアム