シンガポール株式譲渡の印紙税をご説明させていただきます。
1. 印紙税の税率
シンガポール会社株式譲渡時に、譲受人又は譲渡双方の指定した方がその譲渡価額と対象会社の純資産価額(Net Asset value)のうちいずれか高い額の0.2%によって印紙税を納めなければなりません。
2. 印紙税の納付期限
株式譲渡文書がシンガポール国内で締結される場合には、署名日から14日以内に印紙税を支払わなければならず;株式譲渡文書がシンガポール国外で締結される場合には、当該譲渡文書がシンガポールで受領された後30日以内に印紙税を支払わなければなりません。
3. 印紙税の計算
上記のように、シンガポール会社の株式を譲渡する場合には、対象会社の純資産価額と譲渡双方が合意した譲渡価額のいずれか高い額の0.2%が印紙税として課税されます。対象会社の純資産価額によって計算される場合には、シンガポール内国歳入庁(IRAS)は、会社の最新(譲渡日までの24ヶ月以内)の財務報告書に基づき印紙税を計算するよう要求します。対象会社の設立時間が18ヶ月以下である場合には、、シンガポール内国歳入庁(IRAS)は株式発行価格を純資産価額とすることを認めます。
会社の純資産価額は、その総資産からその総負債を控除した部分です。要するに、1株当たり価額は、株主持分に累積黒字額を加えた金額(又は累積損失額を差し引いた金額)を、発行済株式総数で割ることにより計算されます。
例1: 甲はその保有するシンガポール会社の普通株式10,000株を乙に譲渡します。当該株式は発行済株式総数の50%(当該会社の発行済株式総数が20,000株である)を占めます。当該会社の純資産価格が100万シンガポールドルです。この場合に、乙が納める必要がある印紙税の金額は以下の通りです。
印紙税金額 = (100万X 50%) X 0.2% = 1,000シンガポールドル
例2: 甲はその保有するシンガポール会社の普通株式10,000株を乙に譲渡します。当該株式は発行済株式総数の50%(当該会社の発行済株式総数が20,000株である)を占めます。当該会社の純資産価格が100万シンガポールドルです。でも、譲渡双方の合意した譲渡価額は200万シンガポールドルであり、且つ印紙税は甲が支払います。この場合に、甲が納める必要がある印紙税の金額は以下の通りです。
印紙税金額 = 200万 X 0.2% = 4,000シンガポールドル
4. 印紙税の納税義務者
一般的に、株式譲渡双方は、譲渡人が印紙税を支払うか、譲受人が印紙税を支払うかを株式譲渡契約書に明記します。株式譲渡契約書を締結しない場合、又は株式譲渡契約書に印紙税の納税義務者を明記しない場合には、シンガポールの「印紙税法」に基づき、印紙税は購入者又は譲受人が負担します。
5. 関係会社間の株式譲渡にかかる印紙税の免除
シンガポールの「印紙税法」及び「印紙税(関係会社間での株式譲渡にかかる軽減措置)規則」に基づき、関係会社間での株式譲渡で、一定の要件を満たす場合には、申請により印紙税が免税となる可能性があります。以下のいずれかに該当する場合には、関係会社に属します。
(1) 一方の法人が他方の法人の75%以上の議決権株式又は50%以上の議決権を保有する場合;
(2) それぞれの法人の75%以上の議決権株式又は50%以上の議決権は同一持株会社によって保有される場合。
譲渡人と譲受人は、譲渡日まで12ヶ月以上の関係を維持しなければならず、且つ譲渡後2年間に関係を維持しなければなりません。
6. 印紙税の滞納罰金
印紙税の納付が期限切れであり、即ち、本稿のSection 2に記載される期限通りに印紙税を納めない(印紙証明書を取得しない)場合には、納税義務者は印紙税の四倍の罰金が課せられる可能性があります。また、印紙税納付証明書を付けない書類はシンガポールの法律に承認及び保護されていません。つまり、株式譲渡文書は印紙税を納付しないので無効になる可能性があります。