2020.11.22
「草野マサムネのロック大陸漫遊記」
FM TOKYO
草野「リモート会議、リモート飲み会が定着してきたようですが、リモート飲み会はちょっと飽きてきた人もいるのかな」
そんな中、リモート同窓会に参加したそうで、「北海道とか、海外とか、遠方の人も参加できるのがいい」と。
ただし、数人の飲み会と違って20人以上が参加したそうで、「ひと言しゃべるとその人に視線が集中するんですよね。なので、言葉を発するのに少し勇気がいる感じでした。どうでもいいダジャレなんか言って20数名の視線が集まると申し訳ない気がするじゃないですか」。
久しぶりに会った人たちのやりとりをみんなで注目している・・・みたいな不思議な空気感。
・・・で、草野くんはだんだん無口になっていったそうだけど、今になって、「あんまり深く考えないで楽しめばいいのかな」と。
そして、今日のテーマは【ファズギターで漫遊記】。
1960年代に人気だったエフェクター、「ファズ」。
エフェクターとは、楽器の音を変換して音響効果を与える機器。「ライブでギタリストの足元に置いてあるような、あれ」。
ファズは強制的に音をひずませるエフェクター。
草野「今日は、そのファズがブリブリいってるナンバーを紹介したいと思います」
オンエア曲
01 ラズベリー(スピッツ)
02 Blue's Theme(From The Wild Angels)(Davy Allan And The Arrows)
03 I Wanna Be Your Dog(The Stooges)
04 Summertime(Big Brother & The Holding Company)
05 Walking Down Their Outlook(High Tide)
06 Namorinho de Portão(Gal Costa & Gilberto Gil)
07 Jellybelly(The Smashing Pumpkins)
08 I Can't Hear You(Fu Manchu)
09 朝日よさらば(THE MOPS)
10 醒めない(スピッツ)
漫遊前の一曲は、スピッツの「ラズベリー」(1994年、5thアルバム『空の飛び方』)。
草野「実はスピッツには、アマチュア時代に、『ファズギター』という曲があり、ファンクラブツアーでは演奏したことがあるんですけど、音源がないんですよ」
で、ファズギターがイントロに入っている曲として、「ラズベリー」。
(アマチュア時代の曲、すてきな曲たくさんあるので、そのうちにセルフカバーとか? ないんだろうな)
(ベースの音もかっこいい。ライブ映像での、ボーカルのキラキラした目が印象的。かわいくて、妖しくて、ときどき戻りたくなる楽曲です。大好き!)
そして最初の曲は、「ファズギターを切り開いた第一人者」、Davie Allanの「Blue’s Theme(From The Wild Angels)」(1966年、7thシングル)。
「ファズギターのブームの初期のナンバー。アメリカのバイカーカルチャー(バイク乗りのカルチャー)と連動して人気だったインストバンド」だそうだ。
草野「たしかにファズギターのサウンドはバイクのエンジン音に通じるものがあるかもしれませんね。ブリブリいってましたもんね」
(シンプルに繰り返されるフレーズが耳に残ってクセになりそう)
Davie Allan & The Arrows - Cycle Delic (King Fuzz 1967)
これもブリブリいってる・・・。
ファズギターについて。
もともと「ギターのひずんだ音」というのは、アンプのつまみを上げすぎてしまったときに不本意ながらひずんでしまった音を「ちょっと待って。これ、使えんじゃない?」となったのが発端とか。
最初のころは、ギターのひずんだ音がサックスやトランペットなどの管楽器に近いということで代用品として使われていた、とも言われている。
そんな中で、強烈にひずんだ音が欲しいということで、ファズが生まれたんじゃないかな、と。
今日は小さいアンプとエフェクターを運び込んだそうで、「クリーンなエレキの音」→「アンプの音量を上げてひずませた音」→「強制的にファズでひずませた音」を順に聴かせてくれた。
(おお、わかりやすい!)
草野「ファズでひずませると、暴力的なひずみ、というか、下品なひずみが生み出される。曲を派手にしたいときに使いたくなる気持ちは、よくわかります」
ちなみにこの小型のアンプは、「ローディーの小林くんに借りました。ありがとうございます!」。
続いて、「オレにとって、ファズギターの曲と言えば、コレでしょう」という、The Stoogesの「I Wanna Be Your Dog」(1969年、デビューアルバム『Stooges』)。
「ファズギターの音も暴力的でかっこいい」、そして、後ろでシャンシャンいっている鈴の音は、スピッツの「ありがとさん」に影響を与えている、そうだ。
(The Stoogesのイギー・ポップは、草野くんにとって、自分にはない面をもった、永遠の憧れのボーカリスト。最近はわからないけれど、以前はよくインタビューで名前を出していましたよね)
(こんなのを見つけてしまった・・・)
ジム・ジャームッシュ×イギー・ポップ&ストゥージズ/映画『ギミー・デンジャー』予告編
次は、「ロックを代表する定番曲」、Janis Joplinの「Summertime」(1968年、Big Brother & The Holding Company名義の2ndアルバム『Cheap Thrills』)。
草野くんは、この曲がいろいろな人がカバーしているビリー・ホリデーの「Summertime」だということに長いこと気づいていなかったそうだ。「それくらい、すごいアレンジされている」。
この曲、前半はクリーンなギターの音で、だんだんひずみの音が出てくる。「2分15秒くらいでファズのペダルを踏んだなってわかるくらい、ブリブリ・・・って。よほど暑い夏だったんだな、と情景が浮かんでくる」。
(ジャニスの声に時を越えてどこかに引き戻される感じ。けだるく若い夏・・・)
次は、High Tideの「Walking Down Their Outlook」(1969年、デビューアルバム『Sea Shanties』)。
「サマソニなどで来日している若いバンド、High Tydeではなく」、High Tideという60年代のイギリスのバンド。
ここまでは取り上げてきたのはわりと有名な曲だったので、「ちょっとマニアックなナンバーをいってみようかな」。
リリース当時はそれほど話題にのぼらず、のちに入手困難になっていたが、「今はサブスクで聴くことができる。いい時代になったと思います」。
ファズの音をブリブリ聴かせながら「クラシカルなフレーズも弾いちゃってる。そのへんはイギリスっぽいなと思います。ボーカルはちょっとドアーズのジム・モリソンに近いかな」
(ここまでの曲の中で、いちばんねちっこくブリブリいってる? クラシカルなフレーズ・・・わかりますね)
これ、ジャケットです。
ここで、メッセージコーナー。
美大に入る際、「デッサンで苦労したこと、よかったことは? そしてプロ意識とは?」。
美大受験のための予備校に通っていた頃は、「もともとデッサンは下手だったから、うまくなっていく実感があった。それが楽しかったから、つらかった、苦労したという感じはあまりなかった。その先に行こうとすると、苦しかったりするのかな。だから、オレは苦しくなる手前までしか行ってないと思います」と。
バンドマンとしての曲作りについては、「アマチュアのときの楽しさを持ち続けてやっていられるので、これはたぶんスピッツのメンバーもそうだと思うんですけど、プロ的な悩みというのはあまりないんじゃないか。逆にね、音楽をやることが苦行になっちゃうと、音楽に対して失礼な気がするから、苦行にならないように気をつけている面もあります」
(うーん、これは深い言葉だなあ。そして、それが続いているというのは、何よりだな、と思います。これも才能の一端か)
ライブとかには「安くないお金を払ってきてくれるんだから、それに対してはちゃんとやらないとな、という気持ちはあります。プロ意識っていうのかな」と。
ただ作るときには、「楽しんでやろうと思っています。でもこれは人それぞれかな。厳しく自分を追い込んでいる方もいらっしゃるでしょうし」。
次は、「ロックというよりブラジリアン・ポップス」のGal Costa & Gilberto Gilの「Namorinho de Portão」(1969年、1stアルバム『Gal Costa』)。
Gal Costaの1969年のデビューアルバムには、「時代を反映してロックっぽいエッセンスが入っている」。
この曲は、「イントロでいきなり、ファズギターがブリブリバリバリ出てきます。そのあとは何事もなかったかのように口笛と入れ替わって、オシャレなボサノバになるんですけど」。
草野「当時、世界中でファズギターが流行っていたんだなということがわかりますね。日本でもグループサウンズのギターで使われていたり、アニメの『ハクション大魔王』の曲でも・・・」と、ZO-3で聴かせてくれました。
(ホントだ、「何もなかったかのように」口笛に移行していきました(笑))
ここからはもう少し新しめの曲で。
まずは、The Smashing Pumpkinsの「Jellybelly」(1995年、3rdアルバム『Mellon Collie And The Infinite Sadness』)。
The Smashing Pumpkinsは、「ハードロックやヘビーメタルと差別化するために、当時忘れられていたファズを取り入れたんじゃないかと思う」。
当時、ニルヴァーナやマッドハニーのようなパンク寄りのグランジのバンドは、ファズを使っていた印象があるそうだ。
60年代のファズとは違って、「キメが細かい感じかな」。
草野「田村はエフェクターに詳しいんで、『これは○○のファズだよね』と教えてくれそうな気もします」
最後は、Fu Manchuの「I Can’t Hear You」2004年、8thアルバム『Start The Machine』)。
Fu Manchuはストーナーロックのくくりで語られることが多いバンド。重~いファズギターが特徴で、「基本、全曲にファズギターがブリブリバリバリいってる感じ。聴いてると気持ちよくなってくる」。
蝉しぐれを聴いていたら気持ちよくなってくる、クマゼミが「シャーシャー」と鳴いているのをずっと聴いていたらぼ~っとしてくるような・・・とたとえてくれました。
草野「すごく好きなバンドで、ときどき聴きたくなる。これはめちゃめちゃ短くて1分半くらいの曲なんで、ササっと聴いてください」
(蝉しぐれを比べるのは、ン?と思うけど(笑)、ときどき聴きたくなるというのはわかる気がする)
特集の最後に。
今日、ゆらゆら帝国の「午前3時のファズギター」をかけたかったけれど、後半に激しめのファズギターのソロがあって、この番組をお昼に流している局もあるので、「お昼にこれはきついかな、とバランス感覚が働いてしまいました」(笑)
草野「興味のある方は、探ってみてください」
探っていたら、こんな映像が・・・。「グレープフルーツちょうだい」からの「午前3時にファズギター」。坂本慎太郎さん、フェスで全開!
ゆらゆら帝国-午前3時のファズギター
ゆらゆら帝国の曲は、ココでかけていましたね。
最後は「ちょっぴりタイムマシン」のコーナー。
曲は、ザ・モップスの「朝日よさらば」(1968年、1stアルバム『サイケデリック・サウンド・イン・ジャパン』)
ザ・モップスは、60年代後半から70年にかけて(GS時代からニューロックにかけて)人気のあった日本のバンド。
草野「俳優の鈴木ヒロミツさんやアレンジャーの星勝さんが在籍していたバンドということでレジェンド感も強い」
ドラムの鈴木幹治さんは「スピッツとは事務所的につながりがあって(浜田さんのプロデューサー)、お世話になっています。しょっちゅうお会いしているような方」
この曲は1968年、「ファズギター流行のど真ん中の曲。ブリブリバリバリいってます」。
(GSの中では、いい意味で異端だったような)
来週は、「一緒に歌いたくなるメロディアスメタルで漫遊記」。
草野「運転しているときに聴くとよさそうな、サビがキャッチーな洋楽のロックナンバーをご紹介します」
たとえば、ガンマ・レイのようなバンドで、候補曲をリストアップしたら、「見事にイギリス、アメリカ以外の曲がずら~っと並んだ」そうですよ。
今朝方、夢を見た。
うちの裏手に散歩に出たら、広い草原と遠くに山々が広がっていて、「あれ、こんなところだったっけ?」と戸惑いつつもどんどん歩いていく。
落っこちそうな急な下り階段があったり、以前にどこかで見たようなショッピングモールの建物が現れたり、中にはペンキがところどころ薄くなった古い遊具が置いてあったり。
脈絡もなく、ただ歩いても誰にも会わないし、カメラに写しておきたいけどスマホ持ってないし。そんなふうに時間が過ぎて、そのうち帰り道がわからないことに気づくんだけど、ま、いいか、こんなところがあるなら、しばらく家に帰れなくても・・・と思ったり。
これも一種の欲求不満のあらわれで、どこかに飛んでいきたいんでしょうかね、私。
ふつうに家にいて、仕事して、とくに不満もないんだけど、コロナめっ!って、実は・・・なのかもしれないですね。
近くを歩いて、買い物して戻ってきました。
さ、遅めの夕飯だ!
明日は相方が、餃子を作るらしい。楽しみ!
今日は父の命日。
20年以上前のこの日、病室で私が耳元で本を読んであげているときに、逝ってしまった。
父の大好物の缶ビールと大福を供えて、あとで父のことを相方と話そう。
息子たちからも愉快なLINEが届く。孫には好かれた幸せな父です。
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