■PCR検査・抗原検査・抗体検査の違いとは?
済生会「コロナのデータを理解する」2020.09.14 久保園高明(鹿児島病院院長)
https://www.saiseikai.or.jp/feature/covid19/data_q02/
~~~
コロナ禍の報道でよく聞くPCR検査や抗原検査。
しかし何がどう違うのかよく知らないという人も多いはず。
今回は、さまざまな検査の特徴やその仕組み、検査に関する専門用語を分かりやすく解説。
最後に、もし東京都の人口全員を検査するとどうなるのか、シミュレーション結果から分かることをお伝えします。
・いろいろな検査があるけど、何がどう違うの?
新型コロナウイルスの検査には、ウイルスの有無を調べる「PCR検査」「抗原検査」、過去の感染の有無を調べる「抗体検査」の3つがあります。
それぞれの特徴についてみていきましょう。
・コロナウイルスの検査で聞く、『感度』や『特異度』ってなに?
「感度」とは、検査して“正しく陽性(感染している)と分かる割合”です。
真陽性率ともいいます。
例えば100人感染者がいるとして、検査で90人が陽性と分かるならば、感度は90%となります。
「特異度」とは、検査して“正しく陰性(感染していない)と分かる割合”です。
真陰性率ともいいます 。
例えば感染していない人が100人いるとして、検査で98人が陰性と分かるならば、特異度は98%となります。
なお、感染してから何日経過したかや、検体(検査する血液や体液)に含まれるウイルス量によって感度は変わりますが、新型コロナのPCR検査の感度は最高でも70%ほどと考えられています。
特異度はおおよそ99%程度のようです。
・感度や特異度を100%にすることはできないの?
「できない」と考えておいた方がよいでしょう。
感度や特異度は、検査をする材料(検体)の状態 や、陽性と判断する基準値(カットオフ値といいます)によっても変わってきます 。
ごく一部の病気を除いては、感度100%・特異度100%の検査をすることはできないのです。
・感度が70%だとして、残りの30%は?
残りの30%は、本当は感染しているのに陰性となってしまう人の割合です。
これを「偽陰性」といいます。
一方、特異度が99%の場合、1%余ります。
この1%は、本当は感染していないのに陽性となってしまう人の割合です。
これを「偽陽性」といいます。
それでは、ここで問題です。
例えば下記の条件で検査を行なった場合、陽性の的中率(検査の信用度ともいえます)はどれくらいでしょうか?
計算してみましょう。
・人口:1400万人(おおよそ東京都の人口)
・感度:70%
・特異度:99%
・感染率:人口の0.12%(東京都の10万人当たりの感染者数より仮の感染率を作成)
答えは約7.8%です。
約1.2万人しか感染者を割り出せません。
偽陰性の人も約5,000人出ます。
一方で、約14万人もの人々が偽陽性と判定されてしまうのです。
・本当に検査するべき人だけを検査する理由
この結果から分かることを整理してみましょう。
1.疑わしくない人まで対象に含めて検査人数が多くなると、偽陽性の人数が多くなってしまう(真陽性〈本当に陽性〉の人数よりも多い!)。
2.偽陽性の人数が多くなると、検査の信用度が下がってしまう。
検査を受けて陽性といわれても、その人が本当に陽性である確率が約7.8%だとすれば、はたして検査をする意味があるのか、分からなくなってしまいそうです。
~~~
■PCR検査・抗原検査・抗体検査の違いとは?
済生会「コロナのデータを理解する」2020.09.14 久保園高明(鹿児島病院院長)
https://www.saiseikai.or.jp/feature/covid19/data_q02/
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます