kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

サム・ペキンパー 情熱と美学

2015年11月21日 | ★☆☆☆☆
日時:11月21日
映画館:シネツイン
パンフレット:A5版800円。蓮實重彦とか川本三郎のコラムがいかにも。

男なら絶対、見ておかなければならないサム・ペキンパーの映画。
そのサム・ペキンパーのドキュメンタリー映画。
となれば、職場が関与している某映画祭を袖にしてでも行くのが男というものだ。(ちょっと違う。)

が、面白い映画を作る面白い映画監督の話と面白いドキュメンタリー映画は別物だった。

関係者(特に俳優)のインタビューを通して、ペキンパーの全作品を取り上げるのだが、これまで聞いたような話ばかりで、初心者向けの内容。さらに映画としてのテンポが悪く、全体に冗漫で単調。時系列に構成されているので、一番盛り上がる「ワイルド・バンチ」の話題が早々に終わってしまう。(ちなみに「ワイルド・バンチ」のコスプレをやっているおバカさんたちの様子はこちら。)

80年代90年代なら面白かったかも知れないが、スローモーションや編集といった独特の技術面でのアプローチや彼に関する新発見・見解がないと、21世紀のドキュメンタリーとしては弱い。(実際、日本公開まで10年もかかっているもの、さもありなん。)

さらにペキンパー映画のフッテージを使っておらず(使えなかった?)、インタビューの他はスチール写真を中心に構成される映像面も弱いし、文字情報と音声情報が錯綜する編集もあまり上手くない。

監督のプロフィールを見ると、映画研究家らしく、なるほどなあ、映画の作りが書籍的で生真面目なのだ。
研究書なら面白いエピソードを全部盛り込んで詳細に語ることも出来るが、時間に制約のあるドキュメンタリー映画にはもっとメリハリが必要だ。省略すべきところは省略し(作品数が少なく、どの作品も個性的なのでちょっと難しいが)、その一方でペキンパー映画の映画史的な価値をスコセッシが語るとか、「イタリアのペキンパー」と賞賛されたエンツォ・G・カステラッリ監督にインタビューするとか、もっと多層的な構成でも良かったのではないか。

個人的には、あまりお目にかかれない「戦争のはらわた」のメイキング映像が見れたのは良かった。露助のT-34は20台オファーしていたのが、3台しか来なかったらしい。まあ、20台も攻撃してきたら、さすがのシュタイナー分隊も脱出できなかったろうけど。(笑)

ところで、この監督、セルジオ・ソリーマとかフェルナンド・バルディのドキュメンタリーも撮っているである。そっちを日本公開してよ!!






題名:サム・ペキンパー 情熱と美学
原題:Passion & Poetry: The Ballad of Sam Peckinpah
監督:マイク・シーゲル
出演:R.G.アームストロング、L.Q.ジョーンズ、アーネスト・ボーグナイン、ジェームス・コバーン、クリス・クリストファーソン

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