日時:11月15日
映画館:シネツイン
パンフレット:A5版700円。このボリュームでは高いような気もするが、こんなもんか。
アートや写真、60~70年代のアメリカ文化に興味がある人にはオススメのドキュメンタリー映画。
アマチュア歴史家であるジョン・マルーフは、シカゴの歴史を書くための資料として、オークションでトランクに詰まった写真ネガを購入。ただ、写真には門外漢だった彼がさしたる関心もないまま、その写真をSNSにアップしたところ、それらの写真を絶賛する反響が巻き起こる。
あわてて、撮影者ヴィヴィアン・マイヤーを調査すると、彼女は数日前に亡くなっていたことが発覚する(ホントか!?)が、そこから本人の遺品にたどり着き、その中から1960年代から80年代に撮影された15万点にのぼる未発表の写真・ネガ・16ミリ・8ミリフィルムが見つかる。
写真を撮影していたヴィヴィアンの職業は乳母であり、その彼女の足跡をたどることになる。
現代の宝探しモノみたいな話で、劇的すぎる展開に、フェイク・ドキュメンタリーじゃないかと疑ってしまうほどの面白さ。(倉庫いっぱいに詰められ、陽の目をみないままになっているアイテムを発見することは、全ての好事家・コレクターの夢だろうな。)
事の顛末がよりドラマチックなものとなるためには、まずヴィヴィアンの写真が素晴らしいものでなくてはならないのだが、これが素人目にも「いいなあ。」と思えるストリートフォトとかポートレイト。市井の人々の生き様や子どもの笑顔の一瞬がモノクロで切り取られていて、日常生活の愛おしさとか何ともいえない哀愁とかが感じられてくる。(そのあたりの解説はプロの写真家がやってくれる。)
また、乳母をしていた子どもたちを撮影した16ミリ・8ミリフィルムには当時の世相が映し出されていて、ニュース映像にはない生き生きとした生活感が伝わってくる。(意外とこういった映像にはお目にかかることが無い。)
セルフポートレートを撮影するもの好きだったらしく、セルフィー大好きなワタシは参考になるところも多い。(笑)
天涯孤独だった彼女だが、職業が乳母だったこともあり、彼女の人となりを知る人物は多く、彼女について語られていく。
みな口をそろえて「エキセントリックだった。」「変わっていた。」「長身でファッションが独特だった。」・・・
住み込みで住んでいた家の床が傾くくらい、古新聞を貯めこんでいたというのだから、アメリカ人とその住宅事情には余裕があるというか、何というか・・・。
ただ、一風変わっている人に人を魅了する隠れた芸術センスがあるという話は大好き(アールブリュットとか・・・)なもんだから、多少、無茶苦茶でワイルドなエピソードであっても惹きつけられるものがある。それらのエピソードに裏付けられた写真は、観る側により語りかけるものがある。身近にそういう人がいたら、許容できるかどうかは別問題だが。
出自も謎が多く、偽名を名乗ったり、「私はスパイ」と語っていたり、フランス訛りがあったり(なかったり)するのだが、やがて母親のふるさとであるフランスの村にたどりつく。
ここで思いがけない発見があり、ヴィヴィアンの思いがけない一面が垣間見えるくだり、そして、その地で写真展が開催され、無名のアメリカ人が撮影した写真に何十年前の人々やその生活が描かれていたことがわかるくだりには、人間のつながりのもろさと思いがけない幸福に涙が出てくる。
ところで、こんな話が特殊な一例ではなく、氷山の一角かも知れないと思うと、何が隠れていて、人知れず処分されていくのか、世の中恐ろしいものがあるな。
映画館:シネツイン
パンフレット:A5版700円。このボリュームでは高いような気もするが、こんなもんか。
アートや写真、60~70年代のアメリカ文化に興味がある人にはオススメのドキュメンタリー映画。
アマチュア歴史家であるジョン・マルーフは、シカゴの歴史を書くための資料として、オークションでトランクに詰まった写真ネガを購入。ただ、写真には門外漢だった彼がさしたる関心もないまま、その写真をSNSにアップしたところ、それらの写真を絶賛する反響が巻き起こる。
あわてて、撮影者ヴィヴィアン・マイヤーを調査すると、彼女は数日前に亡くなっていたことが発覚する(ホントか!?)が、そこから本人の遺品にたどり着き、その中から1960年代から80年代に撮影された15万点にのぼる未発表の写真・ネガ・16ミリ・8ミリフィルムが見つかる。
写真を撮影していたヴィヴィアンの職業は乳母であり、その彼女の足跡をたどることになる。
現代の宝探しモノみたいな話で、劇的すぎる展開に、フェイク・ドキュメンタリーじゃないかと疑ってしまうほどの面白さ。(倉庫いっぱいに詰められ、陽の目をみないままになっているアイテムを発見することは、全ての好事家・コレクターの夢だろうな。)
事の顛末がよりドラマチックなものとなるためには、まずヴィヴィアンの写真が素晴らしいものでなくてはならないのだが、これが素人目にも「いいなあ。」と思えるストリートフォトとかポートレイト。市井の人々の生き様や子どもの笑顔の一瞬がモノクロで切り取られていて、日常生活の愛おしさとか何ともいえない哀愁とかが感じられてくる。(そのあたりの解説はプロの写真家がやってくれる。)
また、乳母をしていた子どもたちを撮影した16ミリ・8ミリフィルムには当時の世相が映し出されていて、ニュース映像にはない生き生きとした生活感が伝わってくる。(意外とこういった映像にはお目にかかることが無い。)
セルフポートレートを撮影するもの好きだったらしく、セルフィー大好きなワタシは参考になるところも多い。(笑)
天涯孤独だった彼女だが、職業が乳母だったこともあり、彼女の人となりを知る人物は多く、彼女について語られていく。
みな口をそろえて「エキセントリックだった。」「変わっていた。」「長身でファッションが独特だった。」・・・
住み込みで住んでいた家の床が傾くくらい、古新聞を貯めこんでいたというのだから、アメリカ人とその住宅事情には余裕があるというか、何というか・・・。
ただ、一風変わっている人に人を魅了する隠れた芸術センスがあるという話は大好き(アールブリュットとか・・・)なもんだから、多少、無茶苦茶でワイルドなエピソードであっても惹きつけられるものがある。それらのエピソードに裏付けられた写真は、観る側により語りかけるものがある。身近にそういう人がいたら、許容できるかどうかは別問題だが。
出自も謎が多く、偽名を名乗ったり、「私はスパイ」と語っていたり、フランス訛りがあったり(なかったり)するのだが、やがて母親のふるさとであるフランスの村にたどりつく。
ここで思いがけない発見があり、ヴィヴィアンの思いがけない一面が垣間見えるくだり、そして、その地で写真展が開催され、無名のアメリカ人が撮影した写真に何十年前の人々やその生活が描かれていたことがわかるくだりには、人間のつながりのもろさと思いがけない幸福に涙が出てくる。
ところで、こんな話が特殊な一例ではなく、氷山の一角かも知れないと思うと、何が隠れていて、人知れず処分されていくのか、世の中恐ろしいものがあるな。
題名:ヴィヴィアン・マイヤーを探して 原題:Finding Vivian Maier 監督:ジョン・マルーフ、チャーリー・シスケル |
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