味噌汁の重要性を唱えた医師がいました。
長崎に原爆が投下された時、爆心地から1.8kmの病院で、医長として勤務しておられ、病院の仲間と一緒に焼け出された患者を治療しながら働き続けた秋月辰一郎医師です。
秋月辰一郎医師は、長崎の原爆投下時、爆心地からわずか1.8kmの死の灰の中に、廃墟として残った病院で、自ら被爆しながらも、懸命に付近の被爆者の治療にあたりました。
その際、患者や看護師に玄米ご飯、味噌汁、醤油汁、ワカメなどの海草、食塩などの食事を厳格に守らせました。
その結果、秋月医師のところの患者と医療スタッフは、一人として被曝による犠牲者を出さずにすんだのです。
この時の事を、秋月辰一郎医師は、自著:「体質と食物」のなかで
『私たちの病院は、長崎市の味噌.醤油の倉庫にもなっていた。
玄米と味噌は豊富であった。さらにわかめもたくさん保存していたのである。
その時私といっしょに患者の救助、付近の人々の治療に当たった従業員に、いわゆる原爆症が出ないのは、その原因の一つは、「わかめの
味噌汁」であったと私は確信している。』
と言っています。
「体質と食物」 著:秋月辰一郎
著者の、秋月辰一郎は、大正5年生まれ。幼少の頃からの多病虚弱を自ら克服したいとの思いから医師を志しました。
明治時代以降、西洋医学である対症療法・結果療法や 西洋の栄養学が主流となっている中で、化学療法や手術療法に早くから疑問を持ち、本来の医学である原因療法を追求するようになります。
やがて、病気にかからなくてすむ身体、また病気にかかっても軽くて治る身体になる事。
それには人間の体質を作り変えることが医学の本当の姿だという事に気づきます。
そして体質を決定するものは食物であり、日本人にとって食物の最も大切な要は、味噌であると説いています。
自らの被爆体験や、被爆者の治療を経て、味噌の重要性に至ったのだとお思います。
この本の中で、秋月辰一郎医師は、
「毎日欠かさず味噌汁を食べていると、体質がいつの間にか病気に負けない体質になっている」
と説き、特に、「わかめの味噌汁、油揚げの味噌汁」を毎朝食べることをすすめています。
味噌汁そのものの栄養価値として、蛋白質・脂肪・ミネラルを多く含んでいること、また乳酸菌・酵母菌が腸の活動を助けるとして、米・雑穀食の日本人に一番適しているのだそうです。
40年以上前に書かれた本ですが、現在でも十分通用する内容だと思います。
コロナ過の今まさに、免疫を高める事が大切だと、盛んに言われるようになりました。
免疫を高めることはイコール、体質を変える事だと思います。
病気に罹ったら、予防接種やワクチン、抗生物質といった、対症療法や結果治療ではなく、大切なのは、すべての病気にかからなくする方法だとこの本では訴えています。
全体で60ページほどの小さな本ですが、その内容は秋月辰一郎医師自身の実体験とそこから導き出された素朴な、そして確固たる信念を語った名著だと思います。
以下に、「体質と食物」の一節を紹介したいと思います。
P5:『現在行われている医学や医術は、対症療法とか手術療法である。それらは、やむにやまれぬ、切羽つまった医術である。~
しかし、よく考えてみると、これらの細菌とか病巣は、ほんのわずか前の原因である。生命本来の原因ではない。やはり原因療法ではなく、結果療法である。だから数多くの慢性病は実際治っていない現状である』
P8:『病気にかかる、かからないの問題、また病気が重い、軽いの問題、すべて体質が決定するのである。』
P17:『人間は穀類・野菜・海藻・魚肉・獣肉・貝類、そういったものを食べるが、特に日本人は五穀が主食である。~
ということは日本人の身体は、米・麦・大豆から成り立っている。米・麦・大豆が日本人を支えている三本の柱である。
味噌が日本人の食物の最も大切な要のようになっている』
P19:『私は、かつて自分が結核を発病し、病床に伏して天井を眺めながら、真剣に自分の身体を改造して出直そうと考えた。そのためには私
自身の食物を改めよう、そうすれば身体が変ると決心した。「悔い改めよ」でなく、
「食い改めよ」である。』
P30:『私自身の家庭でも、よく熟成された味噌の味噌汁を毎朝炊く。必ず一家中みな一杯ずつ食べる事を、もう十数年来絶対守っている。
この毎朝必ず食べるということが大切である。』
P59:『本当に私は、自分の生命を賭けて医学をした。今、味噌汁にたどりついた。毎朝の味噌汁である。
これが健・不健の鍵と思う』
この本を読んで、今、私も毎朝、味噌汁を飲んでいます。
味噌汁を飲み始めたからといって、すぐ効果があらわれるものではないと思います。
本文中にも書かれていますが、
『毎日欠かさず味噌汁を食べていると、体質がいつの間にか、病気に負けない体質になっている』
ことを目指し、習慣化していきたいと思っています。
せっかく味噌汁をつくるのなら、味噌にもこだわりたいですね。
本文中にも書かれていた、よく熟成された味噌です。今は残念ながらよく熟成された味噌は少なくなっています。
昔ながらの製法で、材料、製法にこだわった美味しい味噌はこちら。
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せっかくなら、出汁は、削りたての鰹節がいいですね。鰹節もこだわりの二年物、本枯れ節をお勧めします。
鰹節は単なる出汁だけではなく、鰹健康維持に欠かせない必須アミノ酸や、うま味成分でもあるイノシン酸を豊富に含む熟成食品です。
出汁がらにもタンパク質が多く残っています。捨てないで、そのまま食べる事をお勧めします。
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