神奈川絵美の「えみごのみ」

壁の葡萄とスキャンダル

今週頭の日曜日は、山本達彦さんの秋ライブ。


達彦さんは、この人
   ↓


 ・・・  せがんじゃっていいですか。





それはともかく。


この日は、とても嬉しいことがあった。
いつも誘ってくださる“着物修行中”のMrs.Bordeauxさん(以下Bさん)に加え
遠方から何と飛行機で駆けつけた新しいライブ友ができたのだ。


コスモス柄(春は桜に)の桐生織に、千切屋の葡萄帯で。
この着物も帯も、おそらく今年はこれが最後だろう。
帯締めはきねや、帯揚げは先日に引き続きゑり萬の飛び柄で、
帯周りは京都度120%。
半衿は以前、誕生日に大好きな着物友さんからいただいた
岡重の花柄の友禅。



会場近くのパティオでは、
以前からあったのかどうか、壁に葡萄のオブジェが飾られて。

「はじめまして
新しいライブ友のSさんは、私と同学年。
とってもチャーミング&ファッショナブルな女性。
話がぴったり合って、学年は2コ下のBさんも交え3人で、
会場の隅、壁際でわいわいと、
開演までプチ同窓会状態。

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さて、ライブの方は、
「秋のパリを意識して」デカダンスでもあり
ノスタルジックなナンバーもあったが、
切り口を変えると、今回は3人の作詞・作曲家がクローズアップされたような
内容だった。

   伊集院 静
     岸 正之 
 そして
        加藤和彦
      (敬称略)


集院氏が作詞家(伊達歩名義)としての最初期に、提供していた先が達彦さん。
そのころ、故 夏目雅子さんと交際中で、
「さまざまな思いや、死期を予感したかのようなモチーフを
(デビューしたてで)真っ白なキャンバスみたいだった僕に託し、(思いを)表現していたのかも」

“白いキャンバス”時代 (1978年) 横に伊集院氏の寄稿。


確かにとても叙情的な歌が多く、中には重い内容も。
私にとっても、12、3歳のときに、茶の間で亡母と何気なく聴いていた
ドラマ主題歌「アゲイン」は大好きな歌の一つだ。


正之さんは、キャッチーでありながらあざとさのまったくない
爽快な曲が印象的なコンポーザー。
この日はご本人が会場にきていて、私のすぐ斜め前に座っておりビックリ。

岸さん (1982年ごろ)



そして、
藤和彦さん。
この日は2度目の命日だった。

派手そうだけどストイック、破天荒に見えるが求道者。
「スーツが欲しいという理由だけで、すぐイギリスへとんでいき、
しかも“着こんだ感じ”にしたいと、寝るときにも着ていた」という彼のエピソードを聞いたとき、

私は
-そういえば結城紬も、
早くこなれた風合いにするため、昔は使用人に着せていた、という話を聞いたことが・・・- と
そんなことを考えていた。


「加藤さんのスタイルを継承していけたら」というような言葉を挟んで、
カバーを2曲。
偶然、4月に拙ブログでE.サティの「ジュ・トゥ・ヴ」を紹介した際、
コメント欄で推薦いただいていた加藤和彦氏のアルバム
「ベル・エキセントリック」からだった。

そのうちの1曲がこちら、「ロスチャイルド夫人のスキャンダル」。



率直な感想だが、加藤氏が酔狂、ときに洒脱というなら
達彦さんはやや耽美だ。
ロートレックと、アルフォンス・ミュシャの違いといったところか。

私は彼の3拍子or3連系の歌はとても好きだけれど、1拍目に重みがくる
正統派のリズムどりは、どうしても「お行儀良く」なりがちだ。
一方、この原曲は、3拍フラット気味、または2、3拍目にタム(太鼓)が入り
ちょっと「ちんどん」チック。
いかにも「新品の高級スーツをナイトウエアにする」感じだ。
どちらがどうということではなく、これはミュージシャンの個性なのでしょう。


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さて、秋のパリ気分を出したくて・・・と達彦さん。
久々にフランス女性の恋人ジョアンナに乗ったら、
途中でビンタを食らったそうで、
       (久々にヴィンテージのシトロエンに乗ったら、
        途中でエンストを起こしたそうで)
帰りがけもどことなく数キロ先を見ているような面持ちでしたが
無事、元のさやにおさまったもよう。

見たかったなぁ・・・ヴィンテージ C。

コメント一覧

神奈川絵美
はつきさんへ
こんにちは
>私の若いころの「大人」のイメージを体現
そうですよね。親とも学校の先生とも違う「大人」像を、私たちはTVや映画や小説や漫画から描いていて、そのほとんどは「明るい未来」とイコールだったように思います。
今はどうなのでしょうか、と思うと正直、胸が痛みます。

加藤和彦さんは1947年生まれ、団塊の世代ですよね。私たちのようにずっと後年生まれから見ると高度成長時代の波に乗って活き活きと輝いていたように(彼のような芸能人は特に)見えますが、一方でこの世代、当時の社会からは結構批判もあったのかも知れません。その後80年代前半は「なんとなくクリスタル」族が批判を浴びたし、批判は結局どの世代にもあったようにも思います。

音楽以外では、私、山口小夜子さんが強烈な「大人のテンプレート」でした。
(彼女も加藤和彦さん世代)
他にももちろん美しい女優やモデルさんはいましたが、
彼女のオーラは格別なものがあったなあ。
はつき
あこがれの大人
http://blog.goo.ne.jp/asochan0930
私は音楽にはとんとうとくて、絵美さんのブログに書かれるミュージシャンは、お名前ぐらいしか知らないのです。で、なぜ知っているかというと、彼らが私の若いころの「大人」のイメージを体現してくれているからなのです(あ、加藤和彦さん世代のことです)。
あの頃、ブームになった海外ブランドなども、彼らは先んじてさりげなく着こなし、またライフスタイルも本当におしゃれで憧れだったなあと。
自分が「大人」と呼ばれる年齢になり、彼らのように、若い人からあこがれられるような世代になれているかというと、心もとないです。バブル世代については批判ばかり耳にしますが…。人生はまだまだ。しっかりしなくては、とそんなことを考えてしまいました。
神奈川絵美
環さんへ
こんにちは
私も環さんと同じようなイメージです。
ライブではこの他、「アメリカン・バー」も
カバーしたのですが、
達彦さんはエレガントに寄ってしまうんですよね。
ご本人、東京ど真ん中の育ちで生粋のシティ・ボーイとか言われていましたが、あまり冒険志向はなく、形式に依る方だと昔語っていたような記憶が・・・。

そうそう、
彼が業界でも知られたSDフリークというのは
ご存知でしたか?
F.M.のカバーが今、youtubeにあるのですが
D.フェイゲンの悪ガキみたいなスタイルとは
似ても似つかぬエレガントな歌い方(笑)
  ↓
http://www.youtube.com/watch?v=g9YZBXxPNsg

>シャガールとベラ夫人
お、そうきましたか。確かにたしかに。
強い絆を感じますよね。
私は、ダリとガラ夫人かな。
この「ロスチャイルド夫人のスキャンダル」を聴いていると、
私何故か、ダリの髭を連想するんですよー。
ベル・エキセントリック
山本達彦さんの曲は詳しくは存じませんが、加藤さんがスノッブなら山本さんはもっとさりげなくスマートなイメージです。
昔「anan」で「工芸館や原美術館がデートに最適」と山本さんがオススメしてた記事のイメージが強くて(笑)
が、曲者の曲をカバーなさったんですね。
同じ加藤さんのアルバム「あの頃、マリーローランサン」の方が私の山本さんのイメージです。
2度目の命日でしたか。加藤さんと安井かずみさんは、シャガールとベラ夫人の関係に似ていると思います。
神奈川絵美
Mrs.bordeauxさんへ
こちらこそありがとうございました
本当に暑かったですね。単+夏襦袢をここまで引きずるとは思いませんでした。

マドモアゼル・ジョアンナ、折角だから見たかったですよねー。まああのブログの文体から、さぞほっとしたのだろうと思います。

まさかのシリーズ、ぜひ! ・・・なのですが、
「まさかの△△!」と言っておきながら、「ところで、どんな歌だっけ・・・」ってことがないようにしておかないと
Mrs.bordeaux
着物修行中です。
こんばんわ。日曜日はどうもありがとうございました。けど、とっても暑かったですねぇ。

ジョアンナ(愛車のシトロエン)にフラれちゃった達彦さん。ライブ後、どんな顔でジョアンナと再会したんでしょうね。想像するとちょっと楽しい♪
アラフォー女子3人のライブはとっても楽しかったです。またご一緒出来るといいですね。まさかの○○シリーズもやっちゃいましょう!
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