埼玉・・・といっても大宮や浦和といった都市部ではなく
どちらかというと「山里」に近いところ。
(いいなあ、ここで降りたいなあ)と、「小江戸へようこそ」の看板を
ぼんやり眺めながら、川越駅を通りすぎて、なお西へ。
そういった場所へ行くのに、
別にどうしても着物でないと、というポリシーなどないのだけど、
よく考えたら、ちょうどこの時期、
夏に近い合い物を、洋服ではすでにまったく持っていなかった

すっかり着物の比重が高くなっているワタシ・・・・・・。

というわけで選んだのは、
前回と同じ福本潮子さんのトルファン綿の着物に、
今回は絹咲き(裂き)の八寸帯。
道中が長いので、やっぱり軽い帯がいい。
襦袢は英さんで仕立てた楊柳のポリの単。
まだ爽やかさの残る気候だが、
最高気温24℃。これ以上は重ねたくない感じ。
スリーシーズン用のピンクのコートはやめて、透け感のあるショールだけにした。
しかし、これがあまり具合よくない。
風のせいだ。
私は常々、着物で困惑するのは雨よりも雪よりも「風」だと思っている。
特に羽織物をどうしようか迷うこの時期の風。
悪天候なら暑かろうが煩わしかろうが備えをしなければならないが、風は・・・
(ちょっと吹いている位なら大丈夫)と、いざ玄関を出ると
予想以上に強く吹いていて、後悔することが何度もあった。
この日も、自宅から駅までの7、8分、
資料でかさんだバッグを「おもし」代わりに、裾を押さえて歩くのがタイヘンだった。
電車に乗ったら乗ったで、
乗り換えの駅でくるべき電車が時刻を過ぎてもなかなか来ない。
あれっ?とアナウンスに耳を傾ければ、
「送電線にビニール袋が絡まって、撤去作業を行っているため、前の駅で止まっています」
とのこと。
なにぶん「山里」へ向かう途中。何度も乗り換えなくてはならないのに、
これでは間に合わない・・・・・・!
この日は運良く、最終的には待ち合わせに数分の遅れで済み
仕事に影響はなかったけれど、
風はやっぱり一番の敵と、思い知った一日だった。