神奈川絵美の「えみごのみ」

宮様の根付と、出雲の神と

ブログを通して知り合った方から
魅力的な展覧会の情報をいただいた。



古事記編纂1300年を記念して、
出雲大社にまつわる資料、文献、出土品などの文化財が
一同に集められたのだ。
弥生時代の勾玉や青銅器の銅剣、銅鐸が目の前に……!

出雲における青銅器の位置づけや、大量出土の背景については
島根県立古代出雲歴史博物館のサイトが比較的わかりやすかったので
そちらをご参照ください。

とりわけ圧倒されたのは、写真右の「宇豆柱(うづばしら)」。
出雲大社の境内から出土された、鎌倉時代のものだそうで、
杉の大木の幹を3本寄せて、周りを石や木片で固め、境内の土台にしたと
伝えられている。
直径1mほどの幹が3本……すごいの一言。

-----------------------

さて、博物館2Fではこんな展示も。

縄文時代の土偶から江戸時代の浮世絵、歌舞伎衣装まで
10のセクションに分かれ展示されている。
この日は時間がなかったので、16~18世紀の茶道具を中心に観てきた。


ご存じ、景徳鎮。左は明、右は清の時代。
こうして見るとやはり清時代の方が、精緻な絵付け。


左は高麗茶碗の中でも彫三島といって、
彫で桧垣文が表されたもの。外側に花文があるのは珍しいそう。
右は灰被天目(はいかつぎてんもく)。
ツヤのないいぶし銀のような色が侘寂びを象徴している。


こちらは「竹尺八花入」。千利休の判とされる「一曲」の銘がある。

----------------------

そして……。

高円宮久子さまが高円宮さまとともに集めた根付コレクションの一部を
昨年、国立博物館に寄贈。常設展示されている。


1990年代半ば~2000年代の作品が中心で、
普段、気軽に使うような根付とは一線を画した
たいへん細工の細かい、まさに美術品と呼べるものがズラリ。
でも、一つひとつとても可愛らしく、
お高くとまった風でないのが、宮様のお人柄をあらわしているようにも思えて。

印象深かったのは

「風船かずらに蜻蛉」という作品。
マンモスの牙と珊瑚で創られているそう。
この立体感、モチーフの重なり具合の繊細さは
根付の概念を超えています……!


ハンプティダンプティや、
和服美人(確か「おねがい」というタイトルだったような)も趣深い。



外国人観光客も多く、ほおおーと顔を寄せてはシャッターをきっていた。
着物好き、和物好きにはおススメの展示です。



※東京国立博物館のサイトはコチラ
 明日(10月27日)から秋の庭園開放だそうです。

コメント一覧

神奈川絵美
Medalogさんへ
こんにちは
そうなんです。アクリルの壁に囲まれた状態なので、触ったりはできなかったのですが、ブログに載せた写真のような感じで、展示されていました。
昔の人も、幹を3本束ねて柱に・・・なんて、よく考え付いたものだなあと思います。

根付、ため息が出るほど美しかったです。
京都に根付美術館があるそうで(上の方、香子さんが書かれていますが)、そちらも興味深いです。
Medalog
宇豆柱というのは、実物が展示されているのですか?
その大きさも、今まで残っていたこともビックリですね。

その反面、根付のなんと繊細で美しいこと…
これは素晴らしい。実物を見たいなあ。
望遠レンズで細部まで観察したいぐらいです。
神奈川絵美
環さんへ
こんにちは
うーん、実際使うとなると、シンプルで細工は細かい一品がいいかなぁ。でも、この展示室に入ったとき、ぱっと目に留まったのがここにも載せた和服美人で、ちょっと大き目ですけれども、持っていたい、そばに置いておきたい、と思わせる作品でした。

トーハク、うちからは遠いのでそう頻繁にはいけないのですが、行けば必ず「行って良かった」と思う場所。日本文化万歳

ところで小曽根真さんのライブ、いいですね~生で聴いたことないので、いつか行きたいです。最近、ピアノトリオのアルバム出していますよね。
神奈川絵美
香子さんへ
こんにちは
私、その記事よく覚えていますよー。いつか私も行きたいなーと思ったものでしたが、こうして高円宮コレクションを観ることができ、よかったです
現代根付も洗練されていて、いいものですね。おっしゃる通り、周知されるほどに作家さん、職人さんの励みになるのではと思います。
神奈川絵美
朋百香さんへ
こんにちは
この展示も、横から斜めからじーっくり観ちゃいました。
素材感で魅せるもの、彩色で魅せるもの、そして細工で魅せるもの…ホント、魅力は尽きませんね。
リアリズムを追求しつつ、遊び心もある、というのが日本の手仕事の良さなのかな、と思います
神奈川絵美
りらさんへ
こんにちは
高円宮コレクションは、私が「根付」と言われて思い浮かべるサイズより大ぶりで、でも細工はとても細かくて、とても見応えがありました。
外国人に人気なのも何となくわかります。そうでしたか、終戦を機に広まったのですね。
トーハク大好き
先月末にトーハク本館で根付をじっくり見て来ました!
トーハク140周年イベントで22時まで開館だったんです。
(小曽根真さんのライブ等々、楽しかったです!)
いつも平成館の特別展で疲れ果て、本館をじっくり見る機会ってないんですよね。
友人同士で「1つもらえるならどの根付?」と言って、私の選んだのはツルンとした象牙の白兎でした。
実際に使いたいので(笑)
絵美さんはやっぱり「風船かずらに蜻蛉」ですか?
香子
根付け
ミクロコスモスですよね、根付けの世界。
昨年お邪魔した京都の根付け博物館を思い出します。
たしか、こちらにも高円宮さま関係があったような。
古いものももちろんですが、現在の作家さんにとって
大いに励みになるコレクションですよね。
朋百香
http://www.tomoko-358.com
絵美さま
根付けの世界って凄いですよね~。
もうあれは芸術品、美術品です。
裏側見たことあります? 私は本で見たのですが、
もうビックリでした、ちゃ~んと足の裏まで
細かく彫ってあって・・・。
細かい所に手を抜かない日本人の感性には脱帽
です。そう言えば、きものでも見えないところに
凝ったりしますよね。
りら
ホンモノ!
色柄の繊細な景徳鎮、大好きなんです~。
形も絶妙な美しさですねぇ。

根付(緒締め)はこちらでも大人気なんですよ。
美術館のブティックでは高級な象牙製の物を売っていますし、アクセサリーなども置いている時計屋で小さな柘植製の物が売られていたりします。
第二次大戦後に日本に駐留した人たちが随分たくさん持ち帰ったみたいです。
でも、宮家のコレクションと言ったら、また一段とすごいものなのでしょうねぇ。
根付好きとしては、見てみたいです!
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

※ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「美術展・工芸展レポート」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事