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着物友から届いた花束、ラブリー
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もう、力わざが効きにくい年代になりましたが、
年代なりのしなやかさや落ち着きを以て
変わらずトライ&エラーを続けていけたら、と思っています。
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さて、先日訪れた出光美術館「古唐津展」の感想を簡単に……。
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桃山時代に九州で生まれ、多くの武士や茶人に愛された古唐津。
当時の技術では、この皿のように(比較がないのでピンとこないと思いますが)
直径30㎝を超える大皿に挑戦したのは古唐津だけ、とも言われており、
伸びやかな絵付けとともに、豪放で野性味の強いイメージが。
でも、その一方で
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温雅、という言葉がぴったりくる、
陽だまりのような土の色は実に優しく、包容力があって
それを「女性的」と言っては今の時代、差別にあたるのかも知れないけれど、
この色合いが、戦国武将達の心をとらえ、癒したのではないかな、と。
私自身も、今回の展示で深く、癒される感覚を得ました。
得に、最初の方にあった奥高麗「銘 さざれ石」。
灰桜をベージュに少し転がしたようなアースカラーは、
思わずその中に入り込んでしまいたくなるほどの温かさ。
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印刷物ではその良さが伝わりませんが……。
この花生なども
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触れませんが、いかにも手なじみよく、穏やか。
不思議なもので、この展示
参考として織部や志野の焼き物も並んでおり、
もちろんそれぞれ魅力があるのだけれど、
「癒され度」は古唐津の方が、私にとってはだんぜん上でした。
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柿文の、珍しい耳付きの壺。
そしてこちらも不思議なもので、
古唐津は茶碗や大皿の方がその持ち味が存分に発揮されており、
食器類は、織部の色が濃くなってしまい(というのは本来は逆で、
織部が古唐津の要素を取り入れたわけですが)
私にとっては少し興がそがれてしまいました。
そんな、自分の感じ方の違いに気付いたりするのも
また楽し。
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もともと、初代館長の出光佐三氏が、
飛びこみでやってきた古美術商からこの丸十の茶碗を
買ったことが、膨大なコレクションの始まりだったとか。
「これは偽物だ! 帰れ!」
当初は、見るなり偽物と決めつけていた出光氏、
でも
古美術商が切々と、
「市中に出回っているものが偽物であり、
これこそが本物の古唐津」と訴え、
その後出光氏はこの茶碗を一番の宝物と愛でるようになった、との
エピソードも。
とても見応えある展示で、
私の場合、1時間20分ほどいましたが、それでも(もうちょっと時間が欲しかったな)
と思うほど。
会期は26日まで。ご興味ある方はぜひ、お急ぎを。
※出光美術館のホームページはコチラです。