この日の演奏会は
以前にも一度伺った、マリンバ奏者
奥平哲也さんのコンサート。
場所は川崎駅前のMUZAホール。
誰もいないステージで。
この日が初日。
奥平さんも直前まで
開催できるのか心配だったそうですが、
それだけに、人前で演奏できることへの喜びが
音からも、全身からも伝わってきました。
同じ空間にいて、響きあいを共有することで得られる
嬉しさだったり、慰めだったり、癒しだったり
それを、演奏しているご自身も受け取っている、やっぱり生演奏でなきゃ、と
弾むような口調でお話しされていたのが印象的でした。
曲目は、
ウィリアム・テル序曲、白鳥、剣の舞など
とても親しみのあるクラシックのアレンジ曲が中心で
でもマリンバってご存知の通り2本~4本のマレットで
連打しながら音を紡いでいくので、その音の流れ、残響がまじりあう感じが
とても幻想的でやわらかく、心地よいのです。
「マリンバは100年ほどの歴史しかないので、
いわゆる古典のオリジナル曲がないんです」
―ピアノは200年以上あるので、バッハ、モーツァルト、ショパン…
たくさんあるけれど、マリンバ用となると、
現代音楽が主流になってしまう。
現代音楽が悪いわけでは決してないけれど、ちょっと難解だったり
とっつきにくい印象は否めない。
「だから僕は、メロディがきれいで親しみやすい、
誰もが口ずさめるようなマリンバの曲をたくさんつくって、
後世にのこしたいんです」
後半はそんな奥平さんのオリジナル作品が続き、
四季の自然が脳裏に浮かぶような穏やかで明るい曲調になごみました。
またみんなが安心して、生の音楽に浸れる日が早くくると良いなあ。
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