浅田次郎著 カード会社の企画で架空の故郷で仮の母の元に里帰りする。都会暮らしのカード利用者が里帰りしそこで架空の母とのやり取りで心が癒される。実の故郷に里帰りし母に癒されると想定したサービスを提供し顧客の満足を得られる。しかし、仮の母と顧客に親子の情が湧き仮の母が亡くなると葬儀に駆けつける。著者得意の人情物語です。
破局
遠野遥著 主人公が付き合っていた女性がいるのに大学の新入生に惹かれ関係を持ってしまった。しかし、元の彼女と関係を持ってしまって女学生に振られる物語。単純な男女関係をセックスを中心に語られているだけの小説でした。
ひこばえ
重松清著 著者得意の人情物語です。幼い頃に両親の離婚で生き別れた父親と音信不通でしたがその父親が病死しその遺物及び葬儀を任された息子の物語です。再婚した母と養父とその子供たちとの関わりや姉との関係が絡み合い物語が進行します。亡き父との思い出や生前に関わりを持った人々からの父の実情とが親子のせつない感情を表現しています。著者の真骨頂ですね。
高村薫著 一人の女性が同棲相手に殺された。その女性は、高校生の時に絵の塾の老婆を殺害した容疑者であった。当時の担当刑事と捜査に関われなかった元刑事、その息子が少女と中学時代の同級生で当時は参考人となっていた。息子の記憶と周りの同級生が絡んだ物語で最後にどんでん返しもなく動機も不明なのでフーンと言う小説でした。
北村薫著 探偵小説? ミステリー小説?なのでしょうか。探偵と助手が密室殺人の仕掛けを解き明かす。犯人を直ぐ明かしてトリックを助手に説明する種明かし手法は他の推理小説と同じです。トリックは現実味がないと読むに堪えない小説になってしまう見本の様な小説です。密室を成立させる方法が本が倒れてきて戸を外から開けられないようにして完成させたり本の重みで家が崩壊してしまう。著者が頭の中で考えたトリックを後で種明かしする。当然解けない謎はないですが読者が意外と思える予想できないトリックで実際に出来そうな物が読みごたえがあるのですが残念な小説でした。後の短編は、読み切れな無かったです。
冷たい檻
伊岡瞬著 元刑事と交番警察官が田舎町の福祉施設に絡む外国製薬会社の不正を暴く物語。なぜ施設の老人が死んだのか。また施設の子供たちが関っているのか。幼い時に攫われた元刑事の息子のことが絡み物語が進みます。謎解きが面白い小説です。
Iの悲劇
米澤穂信著 合併の地方都市の市役所でIターンの事業を受け持った主人公が新規移住者の世話を担当したが移住者が次々と出て行ってしまう。その市にとって移住者な与えられた土地が辺鄙で市の行政的負担が多いので反対があり市長の政策として頓挫してしまう。主人公が一生懸命になればなるほど市の負担になる。役所仕事を題材にした矛盾を暴く小説です。
浜口倫太郎著 父親がユーチューバーになると言い出し娘があきれるがその目的は娘の母親を探すこと。娘は親友の子供で親友が突然亡くなり母親もその前に家を出ていたので養子として育てる。娘はその事を知らず本当の父親として育ち12歳になる。当初の読み始めは、破天荒の父親とそれを冷静に見ている娘の構図であるがユーチューバーになった父親の目的が有名になって実の母親に娘の存在を気付かせる事でした。面白く読みました。
高森顕撤著 親鸞の教えを纏めた歎異抄の解説本。阿弥陀如来を無心で信じることを説かれている。中々難しいことで熱心な門徒でも煩悩があって無心に信じれるか。浄土真宗のお坊さんは、どうなんでしょうか。無心で念仏を唱えているのでしょうかね。お坊さんも生活しなければならないし浄土真宗のお坊さんは、妻帯できるので家族がいますのでより稼がなければならないし。生活を別として信心だけでは生きて行けないのでしょうね。親鸞の教えがあっても実践するのは難しいですね。と言う事は、年金生活者が生活費を心配することなく阿弥陀如来を信心できる条件が揃っているのか。でも信心で煩悩を無くすのは難しいでしょうね。