細谷亮太著 小児科医が小児癌などの治療に携わり子供たちに身をもって教えられた出来事を書いています。寿命が短く死ぬ運命の子供たちが希望を失わず自分の身に起こった病気を受け止めて生きる姿に感動しその出来事や会話を収めています。人が生まれることは、「生まれていいよ」という免許を与えられ生まれてくるかけがえのない命であるから粗末にしたり傷つけたりましてや殺したりしてはいけない事を常日頃から肝に銘じ生きて行かなければならない事のようです。ついつい自分が大事で他人を押し退けたり、欲望のまま生きている者としては特に心して生きて行かなければなりません。浄土真宗の「白骨の文」でしたかお坊さんが説教で話されました。少年が朝、元気に家を出て行き帰りには白骨として帰ってくる。無常の世界観が語られています。
丸山正樹著 ろう者の家族の中でただ一人聴者として生まれた主人公が殺人事件の核心に迫って行くミステリー小説。最初は、聴こえない人の生活を描いた物語かと読み進めて行くうちに実は、殺人事件を解決して行くミステリーでした。あまり接することが無いろう者の生活などが詳しく書いてありミステリー小説とは、思いませんでした。
横関大著 テレビで放送されたドラマの原作です。強盗と銃撃戦で死亡した巡査の子供と幼友達が大人になって銃殺事件で再会する。子供の時の巡査の拳銃を形見としてタイムカプセルと称し埋める。その拳銃が銃殺に使用され謎が深まる。ドラマは、演出的に不自然なところが多くあり俳優を揃えた割に今一つでしたが原作は、その辺を詳細に表現していました。
山田悠介著 仇討が合法化された時代で妻を殺された復讐を果たす物語。オウム事件を連想する内容ですが被疑者の遺族が孤島で仇討を行うという荒唐無稽な内容です。手足を切断し苦しめて殺害する内容や残酷な表現があるがどうも設定に無理があるようです。表現力が浅いのかどうも上滑りな内容でした。
相場英雄著 刑事ものの小説。未解決事件の捜査に特命で当る刑事。信頼する上司が最後に理不尽な解決策を講じる。反発する刑事が取った行動は、ネットマスコミに真実の情報を流す。題名の震える牛がBSE牛の隠ぺい殺人で大手スーパーの御曹司が犯人。最初の書き出しは、刑事の行動とネット記者の行動が同時進行で事件に絡まないが最後方で絡んできます。この書き方は、どうも読みづらいです。殺人動機がBSE牛で罹患した牛が震える症状が出ることから取られた題名ですが刑事ものの題名としたは、意外でした。