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高木 浩志 | |
文藝春秋 |
「ええ!?初心者向けの本じゃないか!」と笑われそうですが、
とにもかくにも、わたしは文楽ビギナーなので、
これで必死にお勉強中です
近松半二のことをいろいろ調べているのですが、
考えてみたら、彼は人形浄瑠璃の作者だったので、
そこからしらべないとお話にならないわけです
とりあえず、原稿を作る時に、
わたしはかならずその対象になる方の年表をつくってみるのですが、
文楽の表現が多いので、わからない単語が続出
そこでゆきあたったのが、この「文楽入門」という本なのです
わたしのようなビギナーでも、大変わかりやすく文楽の歴史を
書いてくれていますし、
本当にありがたい一冊です
もう50年近く前に書かれた本なので、
昨今の文楽事情とはまた異なりますが、
江戸時代のことを知るには、とても分かりやすくて助かります
調べると、歌舞伎とはちょっと事情がちがい、
なかなかこれが苦難の歴史であったことも、うかがえます
半二は、その苦難の中、必死ですぐれた作品を書き、
世に送り出し、信を問うたことがわかってきました
でも、現代になり、文楽もまた、歌舞伎同様、
わたしたちを感動させてくれています
まだ5回くらいしか文楽を見ていないので、
その魅力を語るには、おこがましいですが、
やはり大変にドラマティックな展開が多いことでしょう
人間ではなかなか演じきれないテーマでも、
人形では思い切って演じられる題材が多いことに気付きます。
(典型例が、先月の「伊賀越道中双六」の『岡崎』ですね。
でも、きっちーさまたちが見事に演じられましたが^^)
こちらは、「奥州安達原」のポスターです(近松半二・作)
そして、人形たちの不思議なたたずまい
人形なのに、とても生き生きとした表情で人間も顔負けの
演技を披露します。
それは人形遣いの方々の超絶技巧があるわけですね
たとえば、最近ですと、吉田蓑助さん、
桐竹勘十郎さん、吉田玉男さん(二代目)などがあげられるとおもいます
そして、なんといっても、太夫(たゆう)たちが語る、すばらしい音曲の数々
昭和では、豊竹山城少掾(とよたけやましろのしょうじょう)などがいらっしゃいますが、
いま襲名披露興行中の呂太夫はじめ、綺羅星のことく
太夫さんがいらっしゃいます。
東京だと文楽は現在、大変なプラチナチケットになっていて、
なかなか入手が困難ですが、
大阪の国立文楽劇場だと、案外気楽に見ることができるので
関西方面の方はぜひぜひご覧になってみていただきたいと思います
ともあれ、文楽もしっかりマスターして、
がんばって半二の論文、しあげます~