小生の知人が出掛け、「よかったよ」とお聞きしていた、東京国立博物館平成館で開催中の「仁和寺と御室派のみほとけ展」に出掛けてきた。
当然混雑を避けて平日に・・・ということで会場に着いたところ、なんと入場が50分待ちという表示が・・・
むむ、仁和寺おそるべし・・・と、人気のほどがよくわかる。実際のところ、50分までは待たずして入場することができた。
当然館内は大変な混雑であった。その理由は、会場の最初に展示されていた白檀の精緻な秘仏を見学する行列があったからだ。
高さはわずか12センチ。ぐるりと一周して見学することができるが、このサイズによくぞ・・・というレベルの見事なものであった。
仁和寺といえば、小生にとっては徒然草の兼好法師ゆかりのお寺というイメージしかなかったが、宇多天皇(法皇)ゆかりのもので、888年の創建という。
法皇となった後に、仁和寺に御室(居室)を作ったところから、仁和寺を御室と呼ぶようになったという。展覧会の表題の御室派とは、仁和寺の系統ということになる。
詳しい話は避けるが、ひとくちで言うと、仁和寺はそんな経緯から「皇室の私寺」という立ち位置になる由。
また平安時代のお寺ということで、真言密教のお寺・・・ということで、歴史教科書などでもたびたび目にする弘法大師蔵の絵も展示されていた。
そして数々の展示を眺めていくと、やがて撮影OKというゾーンが・・・これが観音堂の中を丸ごと移したもの。
見事なものであるが、ちょうど観音堂自体が現在解体修理中なのだという。おかげで、お堂の横からの写真なども撮らせていただいた。
そして、いよいよクライマックスの国宝「千手観音菩薩坐像」に・・・こちらは仁和寺でなく、大坂の藤井寺市にある、その名も葛井寺(ふじいでら)に安置されているもの。
一般的な千手観音の手は千本などないが、この像は本当に千本ある(正しくは1041本)という。少なくとも全国で確認されているのはこれ一つとか。
作品は8世紀というから、仁和寺より古いもので、展示ではこの製法などを詳しく解説していた。さらに嬉しいのは、この像の裏まで見学できるところ。
保存はもちろんのこと、この精緻な像をよくぞ運んできたと・・・感動してしまった。その他の曼荼羅とかも興味深いものだったし、見ごたえのある展示に大満足した。
平安時代に盛んだった密教は真言と天台の二派があるが、結果的にその始祖の弘法大師と最澄は仏教界の2トップともいうべき存在。
今の日本の仏教の根本を作ったのは、この時代ということになる。また密教での仏具が由来になった言葉、たとえば「引導を渡す」なんてのもわれわれは口にしている。
そんなことをいろいろ考えながら、帰路についた。この特別展、3月11日までという。ご興味のある方はお急ぎを。
入場待ちの間、暇つぶしにSNSで状況をつぶやいていたら、知人が「まさに今向かっているのですが、そんなに待つのならどうしようかな」と。
ちょうど会場を出たところだったので、「今なら待ちの行列もだいぶ短くなってますよ」とお知らせした。
無事にご覧になれたようだ。めでたしめでたし・・・
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